〈経済学部通信〉2022商大祭 DAY 2

12月10日,11日に開催された本年度の商大祭に合わせ,経済学科では学年毎に対抗ゼミイベントを開催しました。今回はその二日目に行われた3・4年生研究演習のプレゼンテーション大会の様子をお伝えします。

一日目に関する記事はこちらへ


國光ゼミAチーム これからの社会人基礎力と就職支援
経済産業省が提唱している,「前に踏み出す力」,「考え抜く力」,「チームで働く力」からなる社会人基礎力について発表しました。時代とともに働き方や必要とされるスキルが変化していることに触れながら,これらの力がなぜ必要か,どのように身につけるかについて説明しました。また,発表の後半では実際に社会人基礎力を身につけるために参加した,瀬戸内市へのインターンシップについての報告がありました。

山下ゼミ キャッシュレスについて〜今後の未来〜
現在の日本のキャッシュレス決済の現状と今後の見通しについて発表しました。キャッシュレス決済のメリットとデメリットを利用者目線,事業者目線の両面から概観しつつ,具体的な事例を挙げながら解説がありました。また,キャッシュレスを促進することの政策的な観点からの意義についても言及されました。

國光ゼミBチーム シニアの就活アプリ〜瀬戸内市民のための就職支援プラン〜
ゼミ活動の一環として行った,県内の高齢者雇用を促進するための政策提言について発表しました。政策の現場や学内の高齢職員へのインタビューをすることで県内の高齢者雇用の現状と実際の労働者の声が丁寧に調査されていました。これらの結果を踏まえ,現在の求人サイトは高齢者に対し最適化されていないことに着目し,高齢者専用の求人アプリを実際に作るという非常に意義のある活動をしています。

渡辺ゼミ アンケートデータを用いたおすすめの飲食店のマップ作成
学生を対象にアンケート調査を元にした,岡山市内で学生が利用しやすい飲食店の紹介を行いました。コロナ禍に入学したことで学生同士の交流ができなかった世代ですので,コロナ対策が緩和されつつある今,残された学生生活を充実したものにするための一助となり得る発表でした。

井尻ゼミ 日銀グランプリの取り組み2022
例年開催されている,学生による政策提言の場である日銀グランプリの活動報告をしました。井尻ゼミでは班ごとに交通インフラ,ゴミ分別,キャリア計画に注目し,分析と提言を行いました。どの班についても現状の問題点を丁寧に分析した上で,海外の導入例などにも触れながら意義のある提言が為されました。

両角ゼミ イギリス産業革命期の人びと
イギリスの産業革命期の生活について発表しました。イギリスといえば紅茶とフィッシュアンドチップスが有名ですが,これらが産業革命期に労働者が求めた食事であり,それが現在まで文化として根付いているという興味深い報告がありました。後半では当時の勤務体系や富裕層と労働者の比較について説明がありました。

田中勝次ゼミ 中国における人口制限政策の緩和と影響
中国のいわゆる一人っ子政策の変化とそれに伴う人口への影響について発表しました。人口抑制を目的として始まった一人っ子政策ですが,多くの先進国が抱えるように人口減少に直面し,見直しが行われています。その背景にどのような課題があり,どのような対策が取られているかについて,留学生3名のグループが発表しました。

各チームのプレゼン終了後,学生と教員による投票が行われ,以下の通り受賞チームが決定しました。

総合1位 國光ゼミBチーム
総合2位 井尻ゼミ
総合3位 両角ゼミ
デザイン賞 國光ゼミAチーム
スピーチ賞 井尻ゼミ
敢闘賞 渡辺ゼミ

 

 

〈経済学部通信〉働くということ

今回は三谷先生にご寄稿いただきました。


ある時、行列のできるおいしいパン屋があるといううわさを聞き、訪ねてみた。うわさにたがわず長蛇の列ができていて長い時間行列してパンを購入した。おいしかった。しかし、店の名前に違和感があった。 industryという名前がどうにもなじめず、変なパン屋というイメージであった。確かにパン製造もひとつの産業(industry)ではあるが…?

最近、ようやく謎が解けた。industryという英語にはもうひとつ「勤勉」という意味があるのであった[i]。確かに「勤勉な」職人さんが精魂込めて作っているパンという意味なら店の名前としてよく合っていると思った。

人はなぜ働くのか?働くということはどういうことなのか?そして、なぜ「勤勉に」働くことが求められているのか、考えてみたい。

猪木(1987)は西欧の古典や聖書の労働に関する記述を渉猟し、「(労働は)食べるためであり、無為を取り除くためであり、肉体を鍛えるためであり、時には人々に奉仕するためのものでもある。これらの条件のすべて、あるいはいずれかが満たされていれば、労働は「手段」としての意味をもつのである。しかしそれは自己自身のうちにその目的をもつものでは決してない」と述べている(p.203)。つまり人が働くのは何らかの他の目的のための手段であって、目的ではないということである。

経済学でも労働は「仕事から直接得られる喜び以外の、何らかのよい目的のために部分的にしろ全体的にしろ耐え忍ばれた精神ないしは肉体の活動」と定義され、「賃金率は労働の限界負効用と所得の限界効用の比に等しい」とされている[ii]。すなわち、労働は何らかの目的のために行われる労苦を伴う活動とされている。つらく苦しい労働によって得られた生産物を労働主体が獲得するという考えは、私有財産という制度を妥当なものとみなす思想となった。

なぜ「勤勉に」働くことが求められるのであろうか。

ドイツの社会学者マックス・ヴェーバーが『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の中で、資本主義の精神として読み取ったのはつぎのようなベンジャミン・フランクリンの言葉である。「時間は貨幣だということを忘れてはいけない。一日の労働で10シリング儲けられるのに、外出したり、室内で怠けていて半日を過ごすとすれば娯楽や怠惰のためにはたとえ6ペンスしか支払っていないとしても、それを勘定に入れるだけではいけない。本当は、そのほかに5シリングの貨幣を支払っているか、むしろ捨てているのだ。…」この本の主題は近代以降資本主義経済が発達した地域は、イギリス、オランダなど、むしろ禁欲的な教義を持つ清教徒が多い地域であるという逆説に関する分析である。その結果、「清教徒の生活と近代の資本主義企業との間の生の様式の共通性を理論的に推測し、両者とも「生活を合理的に組織化している」という事実を見出している。…(中略)…そして、すべての人間は不確実な未来に直面しながら心で自己否定的なまでの日常生活に没頭し,神によって与えられた資源をただ懸命に仕事のために使用するという姿を,カルヴァンは貰讃していたという結論に達する。」(猪木(1987))

このようなマックス・ヴェーバーの宗教社会学的な洞察は大変興味深いが、批判もある。たとえば、日本や韓国など東アジアの資本主義経済の発展には適用できない。また、最近では19世紀後半のプロイセンの詳細な地域別データの分析によって、宗教の教義よりは人的資本理論の枠組みで説明できるとする計量経済史的研究もある[iii]。いずれにせよ、「勤勉」に働くことと近代以降の資本主義的経済発展には密接な関係がある。

最後に、仕事から得られる喜びとして、仕事の能力の向上や人間としての成長など「学び」や「成長」といった重要な側面があることを指摘したい。確かに労働はつらく苦しいものであるが、これまでやれなかったことがやれるようになったり、仕事の工夫をこらしてみたり、職場の同僚・上司から指導や励ましを受けたり、何かを達成する喜びを味わうこともできる。これらのことが「勤勉」を鼓舞することはいうまでもない。就活などで仕事を探している時、就職先の企業を見極めるには、人を育てることに熱心な企業かどうかも大事なポイントである。

(経済学部 三谷直紀)

 

 

参考文献

猪木武徳(1987)『経済思想』岩波書店。

ジェヴォンズ、W. S.(1981)『経済学の理論』小泉信三・寺尾琢磨・永田清訳/寺尾琢磨改訳(近代経済学古典選集 4)日本経済評論社。

ヴェーバー、M.(1989)『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』大塚久雄訳、岩波文庫。

Becker, S.O. and L. Woessmann (2009), “Was Weber Wrong? A Human Capital Theory of Protestant Economic History”, Quarterly Journal of Economics, pp.531-596.

[i] industryの語源はラテン語のindustria(勤勉)であり、フランス語を経由して15世紀後半英語に入ってきた。「産業」という意味は18世紀後半の産業革命期以降に付け加わった。

[ii] ジェヴォンズ(1981)

[iii] Becker and Woessmann (2009)

生命倫理の再生を(研究活動報告) 

11月11日(金)・12日(土)、本学において、法学部の宍戸圭介教授が大会長、粟屋剛教授が実行委員長となって国際会議(19th Annual Conference of the International Society for Clinical Bioethics)を開催しました(関連リンク)。今回はCOVID-19や国際情勢の影響もあり、ハイブリッド形式を採用しました。

大会テーマ” RENAISSANCE of BIOETHICS: BUILDING PEACE, DIALOGUE and COEXISTENCE.”は、少々挑戦的であったかもしれません。しかし、そもそも生命倫理は、医療倫理のみを対象とするものではなく、環境倫理や国際平和などの問題も広く含む、未来志向の学際的な学問として構想されたものです(生命倫理は倫理学の一分野ではありません)。我々の社会が困難な局面にある今こそ、原点に立ち戻って、生命倫理に関する議論を活性化させる必要がある。多くの人の智慧を結集させる必要がある、そのように感じていました。

したがって、AIや平和学・戦争倫理、訪問介護などに関する多様な報告が今大会に集まったことを、私は非常に嬉しく思います。なお、菊川顕講師と私(宍戸)は” Treatment Preferences related to University Student Injuries”と題した研究報告を行いました。海外において柔道整復がそれほどメジャーではないこともあってか、本報告には複数の質問・コメントをいただくことができました(報告内容は、後日論文にまとめます)。

諸般の事情により、非常に短期間で大会準備をせざるを得ませんでしたが、本学スタッフの献身的なサポート、学生スタッフの細やかな気遣いに大変助けられました。また、遠方より岡山にいらしていただいた先生方、オンラインでご参加くださったみなさまにも感謝いたします。多くの方のご尽力により、無事、大会を終えることができました。本当にありがとうございました。

(法学部:宍戸)

 

岡山商科大学学会主催 学生懸賞論文募集

岡山商科大学学会では、今年も学生懸賞論文を募集します。

今年度は「自由論題」と「地域振興に関する事柄」の2部門で論文を募集します。

4年生は卒業論文や卒業レポート、卒業研究などを活用してふるって応募してください。今年度から4年生もグループでの応募が可能になりました。4年間の学修の総まとめを論文にして残してみませんか?

もちろん、1年生から3年生も応募できます。個人でもグループでも応募可能です。

新しい「地域振興に関する事柄」の部では、地域の問題の調査、地域での活動の報告、地域振興への提言など、皆さんの日ごろの学修やフィールドスタディの成果をまとめて論文にしてください。

 

図書館2階に「論文の書き方」の書籍を集めたコーナーも設置しますので、そちらもぜひ活用してください。応募締め切りは2023123(月)17:00です。

たくさんの応募をお待ちしています。(岡山商科大学学会)

岡山商大論叢第58巻1号が岡山商科大学機関リポジトリにて公開されました。

本学の紀要である岡山商大論叢第58巻1号岡山商科大学機関リポジトリにて公開されました。

「韓・朝鮮半島と法」研究会での報告

先日(2022年6月25日(土)14:00〜18:00),名城大学で,第22回「韓・朝鮮半島と法」研究会が開催されました。

私も,「韓国養子法に関する小考―虚偽の出生申告と無効行為の転換を題材として―」というテーマで報告を行いました。

報告を通じて,私と同じように韓国法を研究されている先生方から,様々な視点でご意見を頂戴できたことは,今後の研究の大きな糧になりそうです。

今後も小さな一歩を大切に,研究を続けて参りたいと思います。

(法学部:鬼頭)

 

シンポジウム「20世紀初頭価値論が残したもの・その歴史的な限界と射程」のご案内

岡山商大の九鬼一人です。以下の通り科研費シンポジウム(コロナのためzoom)が開催されますので、ご案内させていただきます。

参加希望の方は、下記参加申し込みフォームから事前登録をお願い致します。

20世紀初頭価値論が残したもの・その歴史的な限界と射程」

本シンポジウムは、JSPS科研費20K0011920世紀初頭価値哲学の反自然主義—現代価値論の再考のために」(科研代表者・九鬼一人)の助成を受けたものである。

日時:2022410日(日)

時間:13:00-17:00

開催方法:Zoomによるオンライン開催(zoomは記録のために録画)

協賛:瀬戸内哲学研究会、「近代日本における新カント派受容の歴史と意義」研究会(科研代表者・伊藤貴雄先生)

 

参加申込みフォーム(事前登録された方に、Zoomのミーティングルームの情報をお送りいたします。)

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeAVZ_irfvvrui-Diu6N1HeZPWm1OOKVsdTCZGyE_qtSyBVTw/viewform?usp=sf_link

 

プログラム・司会 近堂秀(法政大学)

主旨説明(13:00-13:10

植村玄輝(岡山大学)  フッサールの価値論(13:10-13:50

上島洋一郎(関西大学) ディルタイの価値論(13:50-14:30

九鬼一人(岡山商科大学)リッカートの価値論(14:30-15:10

休憩(10分)

特定質問と提題者のリプライ(15:20-15:50

 特定質問者 高木駿(北九州市立大学)

全体討論(15:50-17:00

 

シンポ要旨

20世紀初頭価値論の諸論客について言うと、以下のようになります。

フッサールのアプリオニズムで言うなら、当然、ディルタイの客観的精神やリッカートの開いた価値体系との関係が問題になるでしょう。植村先生は現象学におけるアプリオニズムを論じられると思いますが、その最善世界を、どのような存在論で説かれるのか、興味あるところです。

ディルタイの解釈学関連で言うなら、上島先生は人格の価値ということに興味をおもちのようです。ディルタイの「他」を特異なものとして認め、社会的な交わりを中心に置く考えと、フッサールの他我論やリッカートの意識一般が、どう交わってゆくのかはスリリングな問題でありましょう。

九鬼の発表では、価値判断の主観準拠、客観準拠を複合するかたちでの、リッカートの二重作用説を発表します。その文脈でカント主義一般の限界に言及します。或る意味、意識一般を独我論的に抽出しているリッカートに対する批判に、十分こたえられているか心もとないところです。両先生からのご批判、ご教示を賜り、議論を深めて行ければと思っています。

 シンポではご自由に発表していただき、できうれば三者三様の限界と射程に、話を絞って行けたらと存じます。研究代表者としての希望を言えば、主催者の予想を裏切る展開が議論を生産的にしてゆくことです。とくに190010年代の彼らの対話がどうした擦れ違いを起こしているか、相関や志向性に関連して確認し、とくに価値論の存在論的前提はいかなるものであるべきかに話をもって行けたら、と念じます。

 

問い合わせ先

九鬼一人

kazuto☆po.osu.ac.jp(☆を@に)

令和3年度学生懸賞論文(岡山商科大学学会主催)において優秀賞と佳作が選ばれました

岡山商科大学では毎年学内において学生懸賞論文を募集しています。

審査の結果、今年度の結果は以下の通りでした。

1) 最優秀賞 該当者なし
2) 優秀賞 1名
吉家千加 「ロングセラー・ブランド化の条件に関する考察 シルバニアファミリーを事例として」(西ゼミ)

概要:玩具市場は、新規コンテンツと長期コンテンツによる市場の二極化や少子化の影響で市場縮小が懸念されている。そこで、本研究はロングセラー・ブランド化への条件を解明することで、玩具メーカーのブランド戦略の課題に対して有益な示唆を提供する。35年以上、消費者の支持を得ているシルバニアファミリーの事例研究を行った結果、「既存顧客への積極的なアプローチ」という追加的な条件を発見した。

3) 佳作 2名
岩田和樹 「自動ナレーション追加システムの実装・配布」(箕輪ゼミ)
横山拓也 「炎上の防止に関する研究報告」(箕輪ゼミ)

 

おめでとうございます!