【商学科フィールドスタディ】研究演習2年(大石ゼミ)

商学科フィールドスタディを紹介していますが,今回もゼミで実施したフィールドスタディを取り上げます。


研究演習2年の大石ゼミでは,観光やマーケティングなどの分野を問わず,地域における観察調査や聞き取り調査を通じて情報を収集し,そこから考察してレポートにまとめる研究活動を実施しています。

今年度は,2021年12月12日に矢掛町を対象地域として,ゼミを2グループに分けてそれぞれにテーマを設定して調査を実施しました。

まずは全員で矢掛町を散策。列車の内装をデザインすることで有名な水戸岡鋭治さんがデザイン監修している道の駅を見学したのち,重伝建に登録された町並みを歩きました。

午後からはグループごとに調査を実施。ひとつのグループはカフェに注目し,なぜ経営者は矢掛町でカフェを開くことになったのかを目的として調査しました。また,もう一方のグループは土産物に注目し,どんなものが売られているか,どんな人が購入するのかを目的として調査しました。

後日,大学に戻って調査結果をまとめました。それぞれのグループは,調査したデータをもとに   目的と結論の整合性を持たせるのに苦労したようですが,短い調査期間の中でうまくレポートにまとめることができました。この経験を卒業論文に生かせるよう期待しています。

(担当 商学科・大石)

 

【商学科フィールドスタディ】教養演習(吉田ゼミ)

商学科で実施しているフィールドスタディの紹介です。前回までは,授業として実施したフィールドスタディでしたが,今回はゼミで実施されたフィールドスタディを紹介します。


「日本3名園の一つ 岡山後楽園を通して地元岡山の歴史と文化を知る」 

前期のフィールドスタディは、岡山県警察本部新庁舎の見学をしましたが、後期は大学の所在である地元岡山の歴史や文化を知るというテーマで行いました。地元を知るということは、一般教養を高めると同時に地元や大学に誇りや愛着が沸いてくると思います。また、県外から来ている学生に、岡山を知ってもらういい機会にもなりますし、県外の家族や友人に岡山を紹介する際の最低限の知識を身につけてもらいたいという思いやゼミ生12人の親睦会も併せて行いました。

   

当日は、ボランティアガイドさんをお願いし、岡山の歴史や文化、当時の生活などお聞きすることが出来ました。コロナ対策と言うことあり少人数の5人程度のグループなり説明をお聞きしました。

日頃は、教室で文章の書き方やレポート作成の仕方等学習していますが、時には学外に出かけていって集団行動を取るとグループが大変打ち解けて仲良くなっていく姿がよくわかりました。

(担当 商学科・吉田信)

【商学科フィールドスタディ】観光サービス実習

商学科で実施しているフィールドスタディの紹介です。本日は,岡山県湯原温泉で実施した「観光サービス実習」について紹介します。


「観光サービス実習」は商学科観光コースの専門科目で、8月に実施する予定だったのですが、コロナ禍で延期され、やっと1月14日~15日に実施されました。

一日目、1月14日、湯原では美しい雪景色が私たちを迎えてくれました。本学の国際観光学科卒業生の古林さんのおうちが経営する「プチホテル湯原リゾート」で実習です。

まず、古林さんから温泉郷の歴史や温泉知識、温泉指南役の講義を受け、その後各自で勉強し、認定試験を受けました。みな無事合格し、指南役の資格証明書を授与されました。

二日目の1月15日には、朝7:00からの地域のとんど祭りに参加し、地元の人々と交流しました。みかんと豚汁をいただき、ホテルに帰り、朝食。その後、湯原温泉街周辺の観光資源(共同露天風呂砂湯、足湯、はんざきセンター、湯原温泉ミュージアム(湯原観光情報センター)や道の駅など)を見学しました。コロナ禍で閉鎖された施設もありました。最後に、客室の消毒方法など、感染対策を実地に見せていただきました。

コロナ禍で例年より現地の滞在は短かったのですが、参加学生にとっては卒論のテーマを決める大きなヒントになったようです。

(担当 商学科・ソユンゾン)  

【商学科フィールドスタディ】テーマパークデザイン論

商学科では授業やゼミにおいて,教室を離れて現場で活躍する方々の話を聞いたり,観察やインタビューを通じて地域の実態を調査,研究するフィールドスタディを実施しています。ここでは,本年度実施された商学科のフィールドスタディをいくつか紹介します。

まずは,昨年の11月末に実施したテーマパークデザイン論について紹介します。

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2021年11月27日から28日にかけて,テーマパークデザイン論を実施しました。例年,夏休みに3泊4日で実施しているプログラムですが,本年は新型コロナウイルスの影響もあり,この時期に期間を短縮して実施しました。

実施場所は,徳島県神山町。ここでの実習は本年度で7回目になります。

神山町は,全国でも数少ない農村移住が積極的に行われている町として有名で,今回の実習では実際にどのような取り組みが行われているのか,そしてどのような人々が活動をしているのか,学生がそれぞれにテーマを設定して調査活動を実施しました。

初日は,神山町出身者で一時期は町を離れていたものの,最近になって町へ戻って飲食店を経営する谷さんに昼食をとりつつお話を伺いました。

次に,地域づくり活動のきっかけとなったアートツアーに参加。神山町ではアーティストイン・レジデンス(KAIR)という,海外や日本からアーティストを募集し,地域の人々と協力しながら美術作品を作り上げる活動をしています。

その後は,地域づくり活動の中心的な役割を担ってきたNPO法人グリーンバレーの竹内さんより,これまでの活動についてお話を伺いました。

宿泊はこの町で働こうと考えている人や視察に来る人のために作られた,WEEK神山にて。ここの施設を経営する神先さんは,この町で長らく行われている就労支援事業である「神山塾」の卒塾生でもあります。夕食後には,神先さんより神山塾やご自身の経歴についてお話しいただきました。

2日目は,まず神山町に移住してカフェを経営し,その後グリーンバレーの理事長になった中山さんからお話をいただきました。

本日の昼食は,その中山さんが以前に経営していた粟カフェにて。

午後は,神山町への移住において最も注目を集めたサテライトオフィスの見学。神山町をはじめとする徳島県ではネット回線が充実しており,これがIT企業が神山町に事務所を構える要因となりました。

今回の実習は1泊2日と短い期間でしたが,どの学生も少ない時間で多くの情報を吸収しようと真剣に取り組んでくれました。神山町での経験が,今後の学生生活や社会生活に役立ってくれることを期待します。  

(担当 商学科・大石)

【経済学科の研究紹介】言われるとかえって嫌になる「心理的リアクタンス」の経済学的分析

「開けないで」と言われるとかえって開けたくなった.

「勉強しなさい」と言われるとかえってやる気がなくなった.

みなさんはこのような経験はないでしょうか.

他の人からある行動を指示されることによって,かえって逆の行動を選びたくなることを心理学では心理的リアクタンス (psychological reactance) という現象の一種として考えます.リアクタンスというのは「抵抗」を意味する言葉です.

心理学では脅かされた自由を取り戻そうと試みた結果,心理的リアクタンスが起きると説明しています (例えばBrehm, 1966).つまり,人は自分の行動は自分で自由に選びたいと考えており,自由が制限されそうになると,それに「抵抗」し,逆の行動を選ぶのです.

 

確かにこの理屈で上手く説明できるケースもあるかもしれません.しかし指示を受けたからと言って常に抵抗するわけではありません(万引きをするなと言われたからと言って万引きしたくなるわけではないでしょう)し,誰から指示されるかによって反応が変わることもあるでしょう(先生に言われると従うけど親に言われると抵抗したくなるなど).実際にはもっと複雑な条件が絡んでくるのではないか,というのが研究の出発点でした.

心理学の弁護をしておくと,心理学でも自由が制限されるといつでも心理的リアクタンスが発生すると言っているわけでは勿論ありません.とはいえ心理学での理論は言語による記述が中心であり,数理的な分析が要求される経済学にそのまま応用することがいずれにせよ難しいのも事実です.このような理由で心理的リアクタンスを経済学の立場から捉えなおせないか,という発想に至ったのです.

私が神戸大学の宮川栄一先生と行った研究 (Kumashiro and Miyagawa, 2017) では,上記の心理学で定説とされている説明から離れ.親や先生,上司のような「アドバイザー」と,子供や学生,部下のような「選択者」の間の駆け引きをゲーム理論を使って分析しました.ゲーム理論というのは人と人との対立関係や協調関係などを数学的に分析するためのツールです.

この研究の特徴は,選択者はアドバイザーからどのように見られているかに関心があることをモデルに取り入れた点です.自分で正しい判断ができるということをアドバイザーに見せつけたいという気持ちを持っているというイメージです.

いつでもアドバイザーに言われる通りに行動しているとまだ一人前ではないと見られるかもしれないので,アドバイザーの指示に反する行動をとる動機が生まれます.一方,いつでもアドバイザーに反した行動を取っていると,大した考えもないのにただ反発しているだけだとみなされるかもしれませんし,自分にも不利益な誤った行動を取りやすくなってしまいます.

この研究では,従ったほうが良いときには従い,ここぞというときには抵抗するといった行動プランを選択者が選ぶ,すなわち心理的リアクタンスが発生する条件を調べました.

まだ改善が必要な部分もありますが,この研究が進むことによって不要な抵抗によって誤った選択をさせないような動機づけの方法にヒントが得られると考えています.なお,この研究については一般向けの雑誌に解説記事を寄稿しています(熊代, 2020).

 

経済学と言うとお金の学問という印象が強いと思いますが,実はこのような「選択」に関わることは全て経済学の対象になります.私のゼミでは,一見あいまいな人の行動や心理を数学的に表現することで,身の回りや社会の出来事を厳密に,明確に捉えることができたら面白いかも,と思える人を特に歓迎します.興味のある人はぜひ岡山商科大学経済学部へお越しください.

(経済学科 熊代)

 

参考文献

J W Brehm, A theory of psychological reactance, New York: Academic Press, 1966.

Kumashiro and Miyagawa, Economic Analysis of Psychological Reactance, Discussion Paper No. 1712, Graduate School of Economics, Kobe University, 2017.

熊代和樹,禁止されるとしたくなる「リアクタンス」の経済学,週刊東洋経済,2020年3月28日号

自転車交通ルール啓発動画を作成しました

法学部・倉持ゼミ(花澤・岡宗・中谷・上田)では、卒業研究として、自転車交通ルールなどについての一般向け啓発動画を作成しました。

最近、自転車の危険運転や交通違反などを見かけることが多くなり、道路交通法では厳罰化が行われ、岡山県でも自転車保険の加入を義務化するなど、自転車に対する意識が高まってきています。そこで卒業研究として、ゼミ生全員で自転車の交通ルールなどについての一般向け啓発動画を作成しました。
自転車の交通ルールはさまざまなものがありますが、この動画では、最も基本的かつ重要なルールについてまとめた「自転車安全利用五則」というものを一つずつ、罰則付きで紹介し、違反を繰り返した場合にどうなるのかという事についても解説しています。他にも、岡山県の事故発生状況をグラフを用いて分かりやすく紹介したり、自転車事故を起こしてしまった場合の民事上の責任を過去裁判例とともに解説しています。また、公的なパンフレット等では曖昧な紹介しかされていない自転車保険についても、どのような種類があり、どれに加入すれば良いかなどについて解説しています。
自転車関連のプレゼンテーションや啓発動画は、そのほとんどが自転車で被害者にならないように、車から身を守るためにというような趣旨で解説しているものが多いですが、この動画は、交通違反をした際の罰則や自転車事故での民事責任について解説するなど、被害者ではなく、加害者側を想定した解説を中心に制作しています。

(文責:花澤)

そろそろ今年度のゼミも終わり

最近、ネット上での誹謗中傷が問題になっています。

刑法には侮辱罪という犯罪がありますが、刑法は明治時代、およそ110年くらい前に出来た法律です。当然ネット上での言葉のやりとりがこんな深刻な問題を生じさせることは、制定当時全く想定されていなかったことでしょう。侮辱罪の予定する刑罰は、「拘留又は科料」。拘留は1日以上30日未満刑事施設に拘置されるという刑罰で、科料は、罰金の軽いバージョンというべきもので、千円以上1万円未満です。現在の深刻な被害からすると、その刑罰は軽すぎるのではないか、と指摘されており、刑の引き上げに関する議論もなされています。

ただ、憲法上保障される表現の自由との兼ね合いもありますし、刑罰を引き上げさえすればいいというシンプルな話でもないようにも思われます。

学生さんたちにとっても関心の高いテーマであるようで、是非このテーマで勉強したいと複数の学生さんから希望がありました。ちょうどいいタイミングで、

雑誌でこんな特集も組まれましたので、「じゃあ、みんなでこれを読んで勉強しよう」ということで、先日のゼミではこの内容で報告してもらいました。

 

ちょっと1回では終わりませんね。就活も忙しくなってくるけど、次年度も引き続き勉強していきましょう。

【経済学科の研究紹介】東南アジアの歴史と経済発展

今回は教員の研究紹介ということで、私が何を研究しているのかについて簡単に話したいと思います。岡山商科大学経済学部の池田昌弘です。

私の研究分野はアジア経済史になります。現在は20世紀前半の東南アジア米貿易やベトナムの米生産・流通を対象としております。この時代の東南アジアは、ヨーロッパやアメリカにより植民地支配を受けていました。私が高校生だった頃、世界史の教科書では支配と現地の人々への抑圧のことが中心に書かれていたと記憶しております。

しかし経済的な側面を見てみると、貿易が急速に拡大し、ヒト・モノの交流が盛んになった時期でもあり、地域によっては一人当たりの所得水準が向上した時代でもあります。当時の経済中心地の写真を見てみると、意外にも大きな建物が並んでいることに驚かれる方もいらっしゃるかと思います(もしかしたらこのあたり、現在の教科書では記述されているかもしれませんね)。

 

写真1:1880年頃サイゴン(現ホーチミン市)のコンチネンタルホテル

[出典:https://www.historichotelsthenandnow.com/continentalsaigon.html

 

その中でも人々の生存に欠かせない米の流れを見ることで、当時の東南アジア(特にベトナム)経済がどのように発展(または停滞)したのかを明らかにすることが、私の研究テーマになります。ベトナムについて言うと、実はこのテーマは経済だけでなく反植民地運動にも密接に関わるため、当時の社会やジャーナリズム、さらには後々の独立戦争にも繋がるテーマになります。

現在の東南アジアは経済発展が著しい地域になります。経済の活発さはメディアを通じてもわかるのではないでしょうか。また、発展とともに日本との関係も非常に深くなってきています。コンビニではベトナム人の方々が対応する光景をよく見ますし、旅行ではバリ、セブ、プーケットといった有名なリゾート先を思い浮かべることができます。

ベトナムでも都市化が急速に進み、植民地時代の建物と併存して高層ビルがたくさん建設されています。

 

写真2:現在のコンチネンタルホテル(ホーチミン市中心地に立地)

[出典:写真1に同じ]

写真3:ホーチミン市の夜景

[出典:The voice of Vietnam(https://vovworld.vn/ja-JP)]

こうした人の移動や観光の賑わいは、関係性という意味において、我々と東南アジアの国々が経済的に近づいてきている様子を示しているのではないでしょうか。こうした「繋がり」を長期的な視点から見直すことで、現在の東南アジア諸国の社会経済がどのように形成されてきたのかを深く理解できればと考えています。

研究では歴史史料を読み込んだりデータを活用したりしていますが、こうした研究活動やその成果の一部は商大の講義からも垣間見ることができます。現在、私は研究と関連した下記の講義を担当しております。

「東南アジアの歴史と社会」、「アジア経済分析」、「開発政策」

 

漠然とアジアについてもっと知りたい、東南アジアってどのような地域なのだろう、と思った方がいらっしゃいましたら、ぜひ岡山商科大学へのオープンキャンパスに参加し、受験を検討していただけたらと思います。

また、今後は教員の研究紹介が定期的に更新されるかと思います。気になった分野やテーマが今後でてくるかもしれません。高校生や保護者の皆様には、今後とも長い目で我々のブログとお付き合いをしていただけますと幸いです。

(経済学部 池田)

ディベートをやってみよう

筆者の2年生ゼミ(専門が分かれる前の基礎演習)では、後期にディベートをしています。

ディベートのお題もゼミ生が希望を出し、みんなで決めます。毎年、ご時世を反映したお題が出てきますし、学生自身が関心を持つテーマなので学生も熱心に準備をしてきてくれますので、筆者としても毎回楽しみというか、面白いなと思ってみています。学生達は図書館やオンラインデータベース、ネットで様々な資料を収集し、それに基づいて主張と根拠づけを考えて、打ち合わせをし、ゼミに臨みます。

この日のお題は「オンライン授業是か非か」「在日外国人に参政権を認めるべきか」の二本立てでした。

オンライン授業に関しては、通信環境やコストにかかわる問題、質問のしやすさや教員からのレスポンスの早さ、繰り返しの視聴が可能か、友達を作り深い人間関係を構築することが難しいこと、長時間のパソコン使用を強いられる健康被害の問題などが言及され、実体験に則した根拠付けが多く、みんな入学間もない頃からよく頑張ったなとしみじみさせられました。反面、「教員も数百人が受講する授業を複数コマ持っていたら、あっという間にメール数百件たまっちゃうのよ」とか、「手がかかる小学生の子ども二人と配偶者が24時間在宅して、家事子育てしながらオンライン授業作って、〆切り迫る中論文書くのはそりゃ大変だったのよ(←筆者のことです)」とか、一昨年の教員側の混乱や苦労もいろいろと思い出されました。

本学はしかし、東京や関西の大学に比べるとだいぶ早期に対面に戻した講義も多かったですし、学内のWi-Fi整備も進み、学生も教員もオンラインに慣れてきた感があります。オンラインのいい面・悪い面、対面のいい面・悪い面について、学生も教員もよくわかってきたのではないでしょうか。オンライン授業と対面授業の在り方については、今後も広く議論される(されていかなければならない)テーマなのではないかと、個人的に考えています。

参政権のお題も、地方自治体のデータや外国のケースなど具体的な例をあげた主張が展開され、大変盛り上がりました。

【経営学科の研究紹介】公認会計士 vs 税理士

 「国際会計論」、「連結会計論」、「会計監査論」、「簿記論」などの科目を担当している経営学部経営学科の陶です。私の研究課題の1つである「会計基準」はやや堅苦しくて難しい感じがします。

 本日はもう1つの研究課題である「会計実務」について、皆さんには比較的馴染みのある会計系の職業について紹介します。一度は聞いたことがあると思いますが、日本における会計関連の職業には「公認会計士」と「税理士」があります。どちらも専門職で人気があります。しかし、どちらの職業も難関の試験に合格しなければその職業に就くことができません。

 以下では受験資格や試験科目、資格取得、そして仕事の内容について、両者を比較してみましょう。
(下線を引いたところは大学生の皆さんにとってはメリットがある部分)

 

公認会計士 vs 税理士

項目 公認会計士 税理士
主な受験資格の概要(高校生や大学生の皆さんに関係があるもののみ) 年齢・学歴などの制限はなし ・日商簿記検定試験1級合格者、全経簿記能力検定試験上級合格者
・大学3年生以上で一定の成績を得ていれば、上記の試験に合格していなくても税理士試験を受験することができる。
試験科目 短答式試験に合格後、論文式試験を受けられる。
・短答式試験は4科目、論文式試験の科目は必須の4科目に選択科目1科目を加えた計5科目。
*短答試験は一度に全ての科目を合格する必要がある。論文試験には科目合格の制度がある(科目合格は2年間のみ有効)
一定の条件を満たす場合(会計専門職大学院での学位取得など)、一部の試験が免除される制度がある。
11科目から5科目を選択。科目単位で合格を認定する「科目合格制」が導入されているため、必ずしも一度に5科目を合格する必要はない。
一定の条件を満たす場合(大学院での学位取得など)一部の試験が免除される制度がある。
資格取得 試験合格後2年以上業務補助を行い、一定期間(基本3年)の実務補習(補習期間中に計10回の考査を受かる必要がある)を受けて、修了考査(5科目計12時間)に合格する必要がある。 試験に合格する以外に、関連する分野での2年以上の実務経験が必要。実務経験は試験合格前でも認められるため、試験勉強中に実務経験を積むこともできる。
独占業務

・監査業務
企業が作成した財務諸表が適正であるかどうかを、第三者の立場から評価する業務

公認会計士は、大きく分けて、財務諸表監査・内部統制監査・コンサルティング(MAS)・IFRS(国際財務報告基準)関連業務を担っている。
*ここでは私の研究課題である「会計基準」との関係が深い。

・税務代理
納税者の代わりに税務署等への申告・申請を行い、税務調査に立ち会い、納税者の代わりに税務調査の対応を行ったりする業務
・税務書類の作成
税務署に提出する届出書を納税者に代わって作成したり、提出したりする業務
・税務相談
税金の計算や必要な手続きといった、税務の相談に応じる業務

 

 いかがでしょう。どちらの試験も大変かもしれませんが、前述のように仕事の内容は魅力的ですし、令和元年に厚生労働省が行った「賃金構造基本統計調査」をもとに計算した公認会計士及び税理士の平均年収は683万5,500円で、日本の産業全体の平均年収500万6,900円に比べると大きく上回っています。この2点を考えると頑張って受けてみる価値があると思います。

 また、たとえ将来的には公認会計士や税理士の定型業務である簡単な仕訳・入力作業、記帳代行、税金計算などの記録や計算の業務をAIが行うようになったとしても、経営コンサルタント、アドバイザリー業務、税務相談などの、専門的な知識を使ってそれぞれのケースに応じた解決策を考え、判断する必要がある業務(非定型業務)はやはり人間が行う必要があるので、すぐにAIに代替される可能性は低いと思います。

 興味のある方はぜひ「簿記論」から会計分野の勉強を始め、少しずつ会計と税務の世界に入ってみて下さい。

(経営学科 陶)