【経営学科の研究紹介】公認会計士 vs 税理士

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 「国際会計論」、「連結会計論」、「会計監査論」、「簿記論」などの科目を担当している経営学部経営学科の陶です。私の研究課題の1つである「会計基準」はやや堅苦しくて難しい感じがします。

 本日はもう1つの研究課題である「会計実務」について、皆さんには比較的馴染みのある会計系の職業について紹介します。一度は聞いたことがあると思いますが、日本における会計関連の職業には「公認会計士」と「税理士」があります。どちらも専門職で人気があります。しかし、どちらの職業も難関の試験に合格しなければその職業に就くことができません。

 以下では受験資格や試験科目、資格取得、そして仕事の内容について、両者を比較してみましょう。
(下線を引いたところは大学生の皆さんにとってはメリットがある部分)

 

公認会計士 vs 税理士

項目 公認会計士 税理士
主な受験資格の概要(高校生や大学生の皆さんに関係があるもののみ) 年齢・学歴などの制限はなし ・日商簿記検定試験1級合格者、全経簿記能力検定試験上級合格者
・大学3年生以上で一定の成績を得ていれば、上記の試験に合格していなくても税理士試験を受験することができる。
試験科目 短答式試験に合格後、論文式試験を受けられる。
・短答式試験は4科目、論文式試験の科目は必須の4科目に選択科目1科目を加えた計5科目。
*短答試験は一度に全ての科目を合格する必要がある。論文試験には科目合格の制度がある(科目合格は2年間のみ有効)
一定の条件を満たす場合(会計専門職大学院での学位取得など)、一部の試験が免除される制度がある。
11科目から5科目を選択。科目単位で合格を認定する「科目合格制」が導入されているため、必ずしも一度に5科目を合格する必要はない。
一定の条件を満たす場合(大学院での学位取得など)一部の試験が免除される制度がある。
資格取得 試験合格後2年以上業務補助を行い、一定期間(基本3年)の実務補習(補習期間中に計10回の考査を受かる必要がある)を受けて、修了考査(5科目計12時間)に合格する必要がある。 試験に合格する以外に、関連する分野での2年以上の実務経験が必要。実務経験は試験合格前でも認められるため、試験勉強中に実務経験を積むこともできる。
独占業務

・監査業務
企業が作成した財務諸表が適正であるかどうかを、第三者の立場から評価する業務

公認会計士は、大きく分けて、財務諸表監査・内部統制監査・コンサルティング(MAS)・IFRS(国際財務報告基準)関連業務を担っている。
*ここでは私の研究課題である「会計基準」との関係が深い。

・税務代理
納税者の代わりに税務署等への申告・申請を行い、税務調査に立ち会い、納税者の代わりに税務調査の対応を行ったりする業務
・税務書類の作成
税務署に提出する届出書を納税者に代わって作成したり、提出したりする業務
・税務相談
税金の計算や必要な手続きといった、税務の相談に応じる業務

 

 いかがでしょう。どちらの試験も大変かもしれませんが、前述のように仕事の内容は魅力的ですし、令和元年に厚生労働省が行った「賃金構造基本統計調査」をもとに計算した公認会計士及び税理士の平均年収は683万5,500円で、日本の産業全体の平均年収500万6,900円に比べると大きく上回っています。この2点を考えると頑張って受けてみる価値があると思います。

 また、たとえ将来的には公認会計士や税理士の定型業務である簡単な仕訳・入力作業、記帳代行、税金計算などの記録や計算の業務をAIが行うようになったとしても、経営コンサルタント、アドバイザリー業務、税務相談などの、専門的な知識を使ってそれぞれのケースに応じた解決策を考え、判断する必要がある業務(非定型業務)はやはり人間が行う必要があるので、すぐにAIに代替される可能性は低いと思います。

 興味のある方はぜひ「簿記論」から会計分野の勉強を始め、少しずつ会計と税務の世界に入ってみて下さい。

(経営学科 陶)

 

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