〈経済学部通信〉コートジボワール訪問記

今回は三谷直紀先生にご寄稿いただきました。


2024年2月末一週間ほどの日程で西アフリカのコートジボワール(Côte d’Ivoire)共和国に出張した。主な目的は、独立行政法人国際協力機構(JICA)が行っている「JICAチェア」の一環として開催された国際コンファレンスで、日本の人的資源開発の経験(歴史)に関する基調講演を行うことであった。合わせて官庁訪問や現地の大学での講義なども行った。以下、コートジボアールという国の概要と訪問した際の見聞記である。

I.コートジボアールという国の概要

コートジボアール共和国は、西アフリカの赤道のすぐ北に位置する国である。1960年にフランスの植民地から独立した。人口は約2800万人で、国土は日本の0.9倍の広さがある。首都は中心部に位置するヤムスクロであるが、南部の都市アビジャンにも主な省庁があり、実質的な首都機能はこちらにある。アビジャンは人口約470万人の国際都市で西アフリカ地域の重要なハブとしての役割を果たしている。

民族的には60以上の部族から成り、各部族では固有の部族語が用いられている。公用語はフランス語である。また、宗教別人口分布はイスラム教42.5%、キリスト教39.8%、伝統宗教2.2%、その他の宗教0.7%、無宗教12.6%である(2021年国勢調査)。社会的文化的多様性に富む国であるが、反面国民的な統合意識をいかに高めるかが課題である。

人口増加率は対前年比2.5% (2022年) と高い。人口の年齢構成は30歳未満が70%以上を占めており、若年人口の割合が非常に高い。少子高齢化が進んだ日本とは対照的である(図1、図2)。乳幼児死亡率も高く、若者の就学率の向上や雇用機会の確保など課題も多いが、人的資源開発による将来の経済発展の可能性も秘めている。

気候は、気温の変動が小さく、南部では湿度が高く、南から北に向かって降水量が減少するのが特徴である。月ごとの平均気温の変動は小さく、日中の気温は摂氏 20 度前半から摂氏 30 度半ばの範囲である。乾季は11月から3月まで続く。12 月から2 月の時期に北東から「ハルマッタン」という乾いた風が吹き、サハラ砂漠の砂が飛んでくる。 4 月から 10 月までの雨季には、年間降水量の合計が北東部と中部で約 1,100 mm、北西部で約1,500 mmの雨が降る。

コートジボワールの1人当たり国民所得GNIは2,620米ドル(2022年、世銀、196カ国中145位)である。西アフリカは世界で最も所得の低い地域のひとつであるが、その中では地中海側のアルジェリア(3,900米ドル)やモロッコ(3,710米ドル)に次いで所得の高い国である。ちなみに日本は42,440米ドル、インドは2,380米ドルである。

同国の基幹産業は農業で、農業に従事する人口は全体の約50%を占め、GDPの約30%、輸出の大部分を占める。カカオやコーヒーなどの商品作物が多い。カカオの生産量は世界一で、2位の隣国ガーナを大幅に上回っている。しかし、付加価値生産性はかなり低い。その背景には輸出されるカカオの国内加工率が20%程度とかなり低いことがある。最近カカオを自国で加工し、上質なチョコレートを作って輸出を図る企業も現れてきているものの品質面での欧米との差は依然大きいようである。

コートジボワール産のチョコレートの新製品

1993年より産油が開始され、近年、石油・石油製品は、カカオ・コーヒーの輸出と並び主要貿易品目となっており、2023年からは、バレーヌ石油・天然ガス田で生産を開始している。

政府は、国内インフラ整備等による開発計画に取り組み、2012年以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた2020年を除き、毎年約7~9%の高い経済成長を維持している。現在、2030年までの上位中所得国移行を目指し、更なる経済社会開発に取り組んでおり、貧困対策と若年層の雇用確保、民間投資の誘致、産業の多角化にも取り組んでいる。

コートジボワールはサッカーが盛んな国である。アビジャン中心部にも立派なサッカー場があった。2024年2月の私の訪問直前にアフリカンカップで3度目の優勝を果たし、街には祝賀ムードが満ち溢れていた。国民の統合意識高揚に大いに寄与したに違いない。

コートジボアールは食べ物がおいしいところである。しっかり下ごしらえをするなど料理の味を大切にする国民であることがうかがえる。実際、今回訪問して魚や肉、食用バナナ、果物など大変おいしかった。

II.コートジボワール訪問

出発前に黄熱など8種類の感染症予防のワクチンを接種した。日本からパリ経由で空路片道約33時間かかった。しかし、冬の日本から常夏の国に来て体調はがぜん良くなった。

1. 官庁訪問(アビジャン、2月20日)

到着の翌日に経済企画開発省と労働省を訪問した。次官クラスも参加するというハイレベルの会議であった。初等中等教育やインフォーマルセクターの問題、労働基準監督行政の諸問題などについて議論した。

経済企画開発省での会議

2. アウレ教授宅での夕食会(アビジャン、2月20日)

その夜、国際会議の主催者であるJapan Corner所長で国立高等統計応用経済学大学校(ENSEA)教授のアウレ(AHOURE)先生の自宅での夕食会にJICAの職員二人とともに招待された。当地の興味深いお話を伺いながら、料理をいただいた。大変おいしかった。1日がかりで準備された由、心のこもったおもてなしに感激した。

余談だが、アビジャンの中心部のホテルから郊外のアウレ教授宅まで行くのが大変だった。通常は車で40分で行けるところが交通渋滞で2時間もかかってしまった。渋滞で止まっている間もたくさんのバナナなどの物売りが車の周りにたくさん寄ってきて商売をしていた。聞けば、地下鉄などが未整備のため交通渋滞は毎日のことで、その解消が重要な政策的課題になっており、日本企業もそのための道路整備等で活躍している由。

アウレ教授宅での夕食

3.大学訪問I(アビジャン、2月21日)

アウレ教授が教鞭をとっている国立高等統計応用経済学大学校(ENSEA)を訪れ、英語で労働経済学の講義を行った。日本の大学と違って、学生諸君からたくさんの質問が出て活発な議論ができた。その後、大学構内にJICAの協力で開設されたJapan Cornerを視察した。まだ、日本関係の書籍は少ないもののスペースが広く、立派なセンターであった。今後日本語教育も積極的に行っていく由。

ENSEAでの講義風景

4 .国際コンファレンス(アビジャン、2月22日)

2月22日に開催された国際コンファレンスは、経済企画開発大臣や駐コートジボアール日本国大使なども参加する盛大なものであった。開催場所は前日と同じ大学ENSEAの構内であった。会場の装飾が色鮮やかなことと紅白の風船がここかしこに上がっていることが印象的であった。まず、会議を盛り上げるために、民族音楽に合わせて舞踊が披露された。

経済企画開発大臣のあいさつ

経済企画開発大臣や日本国大使などのあいさつに続いて、コートジボアールにおける人的資源開発や若年の雇用機会の現状に関する報告等があった。そして、私から日本の人的資源開発の経験に関する基調講演をフランス語で行った。主に、江戸時代からの学校教育と企業内訓練の歴史について説明した。岡山県の閑谷(しずたに)学校講堂(国宝)や遷(せん)喬(きょう)尋常(じんじょう)小学校(1907年竣工、重要文化財)などの写真も使って、いかに日本が昔から教育や訓練に力を入れてきたかを説明した。日本の人材形成システムの特徴は、誰もが参加できるという意味で民主的でかつ競争が激しいという点にあることを強調した。フロアからもたくさんの意見が出て会議は盛会であった。

基調講演

5.日本国大使公邸での天皇誕生日祝賀会(アビジャン、2月22日)

その夜は、日本国大使公邸での天皇誕生日祝賀会に招かれた。公邸は高級住宅街にある瀟洒な建物で、その広い中庭で行われた。コートジボワールの各界の要人に加えて、フランス人などの外国人や日本企業や日本政府関係者など多くの人が招かれていた。日本車の展示とともに、日本企業やJICAなどの展示ブースも設けられ、日本料理や日本酒などもふるまわれていた。魚の養殖事業に携わっている専門家などにも会った。この地にこれだけ多くの企業や政府機関が進出し、日本人が活発に働いていることに感銘を受けた。

朧月夜の天皇誕生日祝賀会

6.大学訪問II(ヤムスクロ、2月23日)

滞在最終日は首都ヤムスクロまで出向いて、もうひとつの訪問先大学:国立フェリックス・ウフェ・ボワニ理工科学院(INP HB)を訪れた。アビジャンから車で片道約3時間、立派な高速道路が通っていた。道路の周辺はサバンナ特有の乾燥した畑地帯であった。ときおり通りかかる村の市場の風景は、この国の農村部の貧しさを感じさせるものであった。

INP HBの校舎

今度の大学でも英語で講義を行った。INP HBは理工系のエリート校で、広大な敷地に立派な校舎が立っていた。コートジボワールのみならず近隣の国からも厳しい選抜試験をして受け入れており、全寮制で授業料等全額免除される由。いかに先端技術分野のエリート教育に力を入れているかがわかる。私の講義でも如何にも優秀そうな学生からたくさん質問を受けた。INP HPで学んだ後、さらに留学したいという学生もいた。目を輝かせて学んでいる様子が印象的だった。

INP HBでの講義後の集合写真

大学訪問のあと、ヤムスクロにあるカトリックの大聖堂を見学した。広大な敷地に建つ壮大な大聖堂とステンドグラスの美しさに感動した。

大聖堂のステンドグラス

今回の出張ではJICAの人達に大変お世話になった。感謝!

(経済学部 三谷直紀)

≪参考資料≫

外務省『コートジボワール共和国 基礎データ』

https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/cote_d/data.html

(独)国際協力機構(2023)『JICA国別分析ペーパー・コートジボワール共和国』 https://www.jica.go.jp/cotedivoire/ku57pq0000046fwq-att/jcap.pdf

 

2024年度前期日本語・日本文化勉強会が始まりました。

6月3日(月)から2024年度前期の日本語・日本文化勉強会が始まりました。これは留学生と日本人学生ボランティアの交流を通して、留学生の日本語力を高めるとともに、参加者が様々な国の文化に親しむことを目的として開催されています。

 実施期間は7月7日(日)の日本語能力試験直前の7月5日(金)までです。毎週月曜日、火曜日、木曜日、金曜日の5限目に図書館5階で開催しています。日本語でおしゃべりをしたり、日本語を使ったゲームをしたり、日本語能力試験の勉強や授業の予習・復習をしたり、参加者の希望に合わせていろいろな活動が行われています。

最初の週には、韓国の留学生に名前の発音について教えてもらいました。「延」「英」「娟」という漢字は、日本語の学生名簿のフリガナでは全て「ヨン」となっているのですが、韓国語では全て違う音で発音するのだそうです。ちなみに日本語の「四」の発音とも違うそうです。さて、次はどんな話が聞けるでしょうか?

(日本語・日本文化勉強会担当 松浦、黎、韓、蘇)

〈経済学部通信〉経済効果 テイラー・スウィフトと大谷翔平

今回は萩原先生にご寄稿いただきました。


 私は産業連関分析を専門にしています。産業連関分析は、いわゆる「経済効果」を計算する手法として知られています。今回は、産業連関分析の紹介を行い、その応用例として、テイラー・スウィフトの東京公演、ドジャースに移籍した大谷翔平の経済効果を取り上げます。経済効果とは何かについては、ここでは触れません。興味を持った学生さんは、私の授業を履修してみてください。

テイラー・スウィフトの東京公演の経済効果

アメリカの歌手のテイラー・スウィフトが2024年2月に来日し、東京ドームで4日間講演を行いました。その「経済効果」を全国で341億円とした推計を、江頭満正氏が経済効果.netというwebサイトで発表しました。この推計は、毎日新聞(2024年2月6日)や経済情報サイトのBloomberg(2024年2月7日)でも紹介されています

この推計について、どの程度妥当か考えてみましょう。

まず、最終需要の増加として、来場者消費として、チケット(54億円)、グッズ(34億円)、宿泊(10億円)、主催者側消費として、事業費(40億円)、その他も含めて合計162億円とこの推計では想定します。このような最終需要の増加によって、生産が拡大し、一次波及効果が265億円、さらに生産拡大が付加価値額の拡大をもたらし、消費の拡大をもたらすというケインズの乗数効果(二次波及効果)が76億円で、合わせて341億円の経済効果、188億円の付加価値額の増加があるとされています。

 この推計は適切でしょうか?まず、「来場者消費」と「主催者側消費」を並列しているところに問題があります。事業費(40億円)などはチケット販売などの収入をもとにした支出なので、二重計算になっています。

次に、チケット販売(54億円)から事業費(40億円)を差し引いた14億円は利益となりますが、主催者とテイラー・スウィフトに分配されるでしょう。主催者はTaylor Swift TouringとAEGX (アメリカのAEG Presentsと日本のエイベックスの子会社) なので、利益の大半は海外の所得になります。国際収支の観点からは、サービスの輸入ということになります。国内への需要の波及はあまりないと考えられます。グッズ販売(34億円)についても、販売されるグッズは、アメリカから持ち込んだもの(輸入)だろうと考えられます。

チケット販売(54億円)のうち事業費(40億円)は二重計算、残り(14億円)のほとんどは海外への支払い、グッズ販売(34億円)も海外からの輸入なので、88億円が過剰です。国内に向けられる最終需要は、国内での旅行費、事業費などの74億円(162億円-88億円)となり、半分以下になります。したがって、341億円の経済効果、188億円の付加価値額の増加という推計は半分以下になります。

大谷翔平の経済効果

次に、最近発表された「宮本勝浩 関西大学名誉教授が推定 – 2024年ドジャースにおける大谷翔平選手の経済効果は約865億1,999万円」(関西大学のプレスリリース2024年5月21日)という経済効果の推計を取り上げてみましょう。「阪神優勝の経済効果は阪神の約70数名の選手全員で創り出したものであったが、大谷選手はたった一人でその額に匹敵する約865億1,999万円の経済効果を創り出すと想定される。」とコメントしています。

 どのようにして推計したかについては、「推計方法および分析結果の無断転載・無断転用の防止のため、ウェブサイトには詳細資料を掲載しておりません。」「本発表は報道資料として発表しております。資料提供元との取り決め等により、報道機関以外の方への資料提供は行っておりません」とプレスリリースに記載されていて、私たちには詳細は分かりません。

 この推計は、朝日新聞山陽新聞などで報道されていますが、関西大学のプレスリリースとほぼ同じ内容になっています。この中で、日刊ゲンダイは「大谷経済効果は865億円! NHKが約1割「放映権料87億円」をMLBに支払い大貢献の仰天」(5/23)とする記事の中で、「莫大な金額の内訳を見ると、『ドジャースタジアムでの観客増加による消費増加額』(約22億円)、『スポンサー収入』(約101億円)などに加え、宮本氏は『放映権収入』として日本のNHKとMLBの契約に着目した。」として、NHKへの支払額が約87億円としています(これもNHKの海外からのサービス輸入であり、日本国内に対する波及効果は生じない。)。依然として、推計の詳細は明確ではありませんが、大谷の経済効果865億円を生み出した最終需要はアメリカで生じたものであり、アメリカにおける経済効果を述べていることになります。経済的影響の大きさという意味では、日本における経済効果(阪神の優勝)とアメリカにおける経済効果(大谷翔平の活躍)の大きさを比較しているのであって、どの国で起きたことかはどうでもいいのかもしれません。分析者本人にとっては自明のことかもしれませんが、どこの国における経済効果化を明記しなければ、日本の経済が大谷選手によって経済効果を受けると誤解されることになるでしょう。分析の内容は、公開するべきだったと思います。

終わりに

産業連関分析による経済効果の推計は、しばしば社会的、あるいは政治的な影響力を持ちます。その公表には責任が伴います。一度発表された数字は独り歩きします。

マスコミは、発表された経済効果をそのまま報道しています。報道を受ける私たちは、報道の背後にある理屈を自分の力で考えてみることも大事です。

(経済学部 萩原泰治)

〈経済学部通信〉「学ぶことの意義」について考えよう

今回は今年度より着任された中條和光先生にご寄稿いただきました。
中條先生は,教育心理学を専門とし,本学では教職課程の担当として「教育心理学」や「生徒・進路指導の理論と方法」などの講義を担当されています。


 新型コロナウイルス感染症も落ち着きを見せ,大学のキャンパスに平常が戻ってきました。

 教室で学生と対面し講義をする。学生の質問に答える。こんな当たり前が改めて新鮮に思え,実はたいへん貴重なものであったことを再確認しています。背筋を伸ばし,真剣な眼差しで講義を受けてくれる学生に接し,講義で取り上げているテーマではありますが,学習意欲について少し書いてみたいと思いました。

図1 勉強の意欲(藤沢市教育文化センター,2022,p.11より作成)

注)「もっと,たくさん勉強したいと思いますか?どれか一つに◯をつけてください。」という問いへ回答の割合

 

 図1は,神奈川県藤沢市が行っている「学習意識調査」から抜き出したものです。藤沢市の調査は,昭和の高度経済成長期に始まり56年間に渡ってほぼ5年おきに行われてきました。調査では,中学3年生を対象に,同じ質問項目を用いて学習意欲などの学びの意識の経年変化が調べられました。調査の行われた56年の間に,子どもたちの学習意欲はどのように変化してきたのでしょうか。

 図から明らかなように,調査開始の1965年以降,「もっと勉強したい」と答える生徒の割合は減少を続けてきました。しかし,2010年を境に増加に転じています。2022年の藤沢市の報告書では,増加の要因としてコロナ禍の影響を指摘しています。コロナ禍で,学校に通えなくなったこと,社会的距離の確保を求められ,マスク着用やグループ活動が制限された「学校の勉強」を経験したことなどが,生徒たち自身に勉強について改めてその意味を考える機会となったと考察されています。また,2017年に告示された新学習指導要領によって,学校現場で「主体的・対話的で深い学び」,いわゆるアクティブ・ラーニングの視点による授業改善の取り組みが進められていることも生徒の「勉強したい」という思いを高めている要因として挙げられています。

 しかし,2015年の調査で「もっと勉強したい」という回答が増加したことについては,どのように考えればよいのでしょうか。実は, 2008年に告示された学習指導要領の改訂の際に,学力の3つの要素の1つとして学習意欲が示され,子どもたちの学習意欲を高めることが学校現場に求められていたことがその理由の1つと考えられます。その際,意欲の指導のために,体験的な学習やキャリア教育などを通じ,学ぶ意義を認識させることが必要と示されました。高校受験を控えた中学3年生を対象とする藤沢市の調査では,このことが功を奏して,2015年の調査で「もっと勉強したい」という回答の割合が増加した可能性があります。

 現行の2017年告示の学習指導要領では,さらに踏み込んで,子どもたちの「主体的・対話的で深い学び」を実現するために,「生徒が,学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら,社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう」,キャリア教育の充実を図ることが明記されています。授業において学ぶことと自分の社会的・職業的自立との関係を理解することを通して学びの意義を理解させ,学びに取り組む姿勢を育てることに力を注ぐことが求められているのです。このことが,生徒の学習意欲の向上につながった理由の1つと考えられます。

 さて,ここまでは藤沢市の調査報告を拠り所に学習意欲について見てきましたが,高校受験を前にした中学3年生を対象とする調査において,学ぶことの意義を理解させることが意欲の増加につながるという知見は,大学教育に対してもたいへん重要な示唆を与えていると思われます。

 大学では,学問の先端や深みに触れることができます。それらを通して学問それ自体の魅力に気づき,意欲的に講義に参加し目を輝かせて学ぶ学生の姿は,教育や学究に勤しむ教員にとっても励みとなります。しかし,社会人への移行を控えた大学生にとって,社会に目を向けること,アルバイトやボランティア活動,旅行などの体験を通して実社会に触れること,インターンシップや大学が提供するキャリア教育などにより「学ぶことの意義」について考えてみることは,自らの学習意欲を高めるうえでたいへん重要なことだと思います。「学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら,社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていく」という学習指導要領の文言は,決して小中高等学校段階にとどまるものではなく,むしろ大学生にこそ必要な学びの態度ではないでしょうか。

 私の関わる教職課程でも,教員免許の取得を目指して学生が日々研鑽に励んでいます。現在の小中高等学校の教育においては,変化の激しい現代社会において,児童生徒の生きる力を育むことが教育目標に掲げられています。教員の仕事は,社会の構成員の育成であり,まさにエッセンシャルワーカーです。私も,学生の皆さんとともに,教職課程を学ぶ意義やこれからの社会における教員のあり方を考えていきたいと思います。

(経済学部 中條)

引用文献

藤沢市教育文化センター 2022 第12回「学習意識調査」報告書 ―藤沢市立中学校3年生・56 年間の比較研究―

公務員試験シーズンです (法学部の公務員就職実績)

5月から6月にかけては、多くの公務員試験の一次試験が行われます。本学法学部の4年生からも、一次試験受けました、受かりましたの報告がちらほら聞こえてきています(まだ二次試験、ものによっては三次試験もあるので、まだまだ気が抜けませんが・・・)。民間と併願する学生も、公務員試験一本でいく学生もいます。それぞれの大変さがあります。

下記は昨年の法学部の実績ですが、今年も希望を叶える学生が増えるようにと願っています。

 

商学科合同ゼミ「大学生活サポート教室-大学生が狙われている-」

 5月9日(木)本学で「大学生サポート教室-大学生が狙われている-」の勉強会を実施しました。参加した学生さんは、商学科1年生合同ゼミ(内田ゼミ、青木ゼミ、吉田ゼミ)の学生35人です。講師は、岡山市消費者生活センターから岡本英治氏が来てくださいました。 

 事前学修として、消費者トラブルについて各自研究しレポート提出を行い、勉強会に臨みました。学生の皆さんは、事前学修をしたことによって疑問点や課題が見えてき、自分事と考えそのようなときどのような行動を取ったら良いのか解決策がしっかり見えてきたようです。

 覚えのない架空請求かもしれない通知が来ました。あなたはどうしますか。

・特殊詐欺とよく聞くが一体どんな詐欺なのか。よくわからない。

・ロマンス詐欺という言葉を聞いたことがあるがどんな手口なのか。

・架空請求と思われるメールがよく届きますが,どうしたらいいのか。

・闇バイトは儲かる話らしいが、どんな手口はで声がかかるのだろうか。

・ネットショッピングで購入したが商品が注文した品と違っていた。そんなときどうしたらいいのか。

・いきなりパソコンから大きなブザーが鳴って、ウィルス感染メッセージが来たがそのときどうしたらよかったのか。

・暗号資産のもうけは話があるという話を聞いたことがあるが、それはいったい何なんだ。

・コンサートのチケットを転売したいがこの行為は違法なのか。 

・先輩から商品購入を頼まれたがどうしたらいいのか。

・4月から下宿をしたが電気料金が安くなるので契約を変更しましょうと言われたがどうしたらいいのか。

 各自このような課題を持って勉強会に臨みました。

特殊詐欺被害額1日2億円、年間772億円突破

 身に覚えの請求通知が届きました。そのときあなたはどうしますか。グループで話し合ってください。

—–

 次に勉強会をした後の学生の皆さんの感想を紹介します。

・架空請求と思われるメールやはがきが自分のもとに届いた場合の対処法は、極めて簡単だとわかりました。それは無視することです。具体的な手口にもあったように、メールに返信したり、電話をしたりしてしまった場合は、その後もしつこく連絡が来る恐れがあるため、何もしないのが一番いいようです。架空請求の手口は近年ますます巧妙化しています。不安になって誤って金銭を振り込んだりすると、思わぬ被害を被ってしまう可能性があります。そうならないためにも、架空請求か疑わしい場合は、すぐに警察に連絡するか、もしくは専門家へ相談したいと思います。

・自分はだまされないと思っている人ほど要注意だそうだ。

・「不在通知」偽SNSの被害が、こんなにも多いのか信じられない位の数字でした。

・友人から誘われても私は断る勇気を持つことに決めた。

・突然やってくるセールスマンには気を付けろ.その時話は聞くな,勇気を持ってきっぱり断ろう。

・身に覚えのない商品が届いた時は、受け取るな。これは送りつけ商法だと思え。

・ネットショッピングでチェックしておかないといけない項目を教えてもらい、大変参考になりました。

・「初回無料、初回お買い得価格、定期縛りなし」の意味を理解できたのは良かった。

・簡単に儲かる話はない。怪しい誘いには落とし穴がある。

・何か不安があったら友達に相談しようと思いました。

(経営学部商学科教授 吉田信)

 

北房神秘スポット巡り:ガイドの多言語化をお手伝い

一般社団法人北房観光協会が企画した北房の「日本一のホタルの里の神秘スポット巡り&探検」(以下、「神秘スポット巡り」)の案内文を英語、中国語、韓国語の3か国語の音声ガイドにするため、5月24日(金)、留学生の皆さんが音声を吹き込みました。英語はスリランカ出身のヤスミ・ビヤンカさん、中国語は中国出身の王伊諾さん、韓国語は韓国出身の金浩光さんが担当しました。三人とも商学科所属の留学生です。

北房には500万年前にできた鍾乳洞、妖精が見える平安杉、多数の古墳に加え諏訪神社、金毘羅神社などのパワースポットがあります(写真下)。今回吹き込んだ音声は、観光協会の坂本さんが海外からの旅行者を案内するときに、持参したタブレットで流されるそうです。

パワースポットだけでなく、北房はホタルでも有名です。環境省の「ふるさといきものの里百選」に選ばれたホタルの里で、6月には備中川沿いに何キロにもわたって飛び交うホタルを見ることができます。北房観光協会の坂本さんによると、6月上旬にはゲンジボタルが、中旬になると3種類のホタルが一度に見られるそうです。ホタルが飛び始めるのは夜8時30分ごろからだそうです。

6月8日(土)と15日(土)の「ホタルの夕べ」には呰部商店街に夜店が並びます。三好ゼミの学生さんたちが参加します。皆さんもぜひホタル観賞にお出かけください。

(商学科 松浦・黎・徐)

6/16オープンキャンパス開催!

6月16日(日)にオープンキャンパス(来学型)を開催します。

日時:2024年6月16日(日)13時~16時

事前予約をされた方には軽食プレゼント!
以下URLより、ご予約ができます。
※同行者の人数、当日の交通手段などをご登録ください。
https://forms.gle/xm1wEjJ3kbGzTJKr8

▼予約なしの飛び入り参加も可能です!
ただし、軽食は先着順となります。
※無料送迎バスをご利用される方は、必ずご予約ください。

当日のプログラム(予定)は以下の通りです。


13:00~14:00 (オープニング)全体会

  • 大学説明・学科紹介
  • 学生による「私のキャリアステップ」

14:10~14:50 (Ⅰ部)学科ガイダンス

  • 法① :学生とのトークセッション
  • 経済①:カリキュラム・コース説明
  • 経営①:学科紹介/学生とのトークセッション
  • 商① :学生による学科紹介/ミニ講義「観光って何だろう?-観光から結びつく地域とビジネス-」(大石准教授

15:00~15:40 (Ⅰ部)学科ガイダンス

  • 法② :法学部学科説明/ミニ講義「「民法」誕生の秘話-なぜ,日本民法の施行日は「7月16日」⁉-」(鬼頭准教授
  • 経済②:学生との個別相談
  • 経営②:ミニ講義「経営学入門」(林部助教
  • 商② :学生による学科紹介/ミニ講義「模擬じゃない!! リアル・ビジネス概論~実際の授業風景を撮影した動画を交えて~」(三好教授

15:00~16:00 (Ⅱ部)各種コーナー・個別相談

  • 学生生活・入試制度説明(新校舎説明も含む)
  • 個別相談会(全学科個別相談、入試・学生生活個別相談)
  • 下宿相談会
  • キャンパスツアー

15:40~16:00 (Ⅲ部)総合型選抜対策

  • レポートの書き方講座

無料送迎バス運行(岡山駅西口~本学)🚍
行き(岡山駅西口発)/
12:00、12:10(予定)
帰り(岡山商大発)/
15:20、15:45、16:10、16:30(予定)
※無料送迎バスをご利用される方は、必ずご予約をお願いします。

■岡山駅西口・無料送迎バス乗り場
全日空ホテル前のバス停
https://goo.gl/maps/WjAkoMocfaTv3Qqe7

▼交通案内図及び学内案内図
詳しくはこちら(PDFデータ)をご覧ください。

【高校3年生限定】交通費支援制度&無料宿泊体験
1)交通費支援制度のご案内
遠方からの交通費の一部をサポート!
対象日:全日程
対象者:指定地域に居住する高校3年生
※オープンキャンパスに参加するご本人のみ
※1回限り
支援金額:交通費の一部として、クオカードで500円~1,500円サポート
※参加照会後、株式会社ジェイ・エス・ビー・ネットワークから郵送します。

500円サポート

  • 岡山県(津山市・奈義町・勝央町)
  • 兵庫県(赤穂市・相生市・たつの市・上郡町・太子町)
  • 広島県(福山市・尾道市・三原市・竹原市・府中市)
  • 香川県(県内全域)

1,000円サポート

  • 岡山県(新見市・真庭市・美作市・新庄村・鏡野町・西粟倉村)
  • 兵庫県(姫路市・佐用町)
  • 広島県(呉市・東広島市・世羅町・神石高原町)
  • 鳥取県(日南市・日野町・江府町・八頭町・智頭町・若桜町)
  • 徳島県・高知県・愛媛県(県内全域)

1,500円サポート

  • 上記以外の全域
    ※岡山県内の上記記載エリア以外は除く

申込み条件:

  1. 「オープンキャンパス参加」の申込手続きを完了する
  2. 「交通費支援制度利用」の申込手続きを完了する

2)無料体験宿泊のご案内
UniLife(ユニライフ)の学生マンションに無料体験宿泊できる特別企画を実施中!
詳しくは、以下から別途お申込み下さい。
無料体験宿泊パンフレット(UniLife)

企画・主催:岡山商科大学 入試課
運営:株式会社ジェイ・エス・ビー・ネットワーク

▼6/16の軽食について
軽食は「マラサダドーナツのお店」さんです!
大学から歩いて約4分にお店があり、毎月キッチンカーストリートにもご出店😊

マラサダドーナツのお店
HP:https://www.malasadadoughnut.jp/shop-list/%E5%B2%A1%E5%B1%B1%E5%BA%97/
インスタ:https://www.instagram.com/malasada_okayama/

その他:
①駐車場をご用意しております。
②服装指定はございません。私服での来場OKです。
③当日、発熱等の症状がある場合は来場をお控えください。
④来場時に手指消毒にご協力ください。

受付場所:岡山商科大学 7号館

 

商学科1年教養演習で「デートDVを考える」を行いました

 令和6年5月15日に、商学科1年生合同ゼミ(内田ゼミ、青木ゼミ、吉田ゼミ)で「デートDVに関する研修会」を実施しました。講師は、法務省人権擁護委員会、岡山県人権擁護委員協議会から8名の方が来てくださいました。

 知っているようで知らない、ただ漠然と言葉は聞いたことがあるという学生が多ということもあり、今回きちんと正しい知識を持ち豊かな大学生活や人生を送ってもらいたいという思いで企画しました。

こんな雰囲気の中で勉強しました

 ワークシートを活用しながら、自分の考えをまとめたり、グループディスカツション、全体での意見交換などをしながら、考える、発表する、人の意見を聞くとスタイルで行いました。「今日お花をもらった」という詩の朗読の時、涙ぐむ学生もいました。

詩の朗読や寸劇など見事なスタッフさんでした

アンケートから学生の声を一部ご紹介します。

・今日のお話を聞くまでは、余り考えたことがなかったのですが、改めて考えてみると交際相手への暴力は、犯罪になる行為だし重大な人権侵害であるという意識が低くかったと思いました。

・「デートDVなんか絶対にあり得ない。もしそういったことがあったらすぐに別れる!!」と思っていたが、実際自分がされたらやっぱり怖いという気持ちが優先するのだろうなあと感じました。周りでDVを受けている人がもしいたら熱心に相談に乗ってあげたいと思いました。

・一人一人の個人の意思を尊重しあえる対等な人間関係を築くことの大切さがよくわかりました。自分を大切にするというところで、「思っていることは伝えないといけないこと」、「伝え方にも気を付けること」が大切だと思いました。今日お花をもらったという詩を聞いていて「自分に何かしてくれるからといって良い人だとは限らないこと」、「相手に違和感を感じたら、誰かに一度話を聞いてもらい客観的な意見を聞くこと」も大切だと思いました。

・男性の嫉妬心、独占欲から携帯のチェックやメールの返信が遅いと怒鳴ったり、私は絶対にそうならないように相手の気持ちを考えられるようになりたいと思いました。

「今日お花をもらった」の一場面です

DVを理論的に学習しました

(経営学部商学科 教授 吉田 信)

 

教員養成課程の教職フィールドスタディ「第71回岡山東商業高校・倉敷商業高校定期戦」視察

 5月9日(木)岡山県総合グランドで開催された「第51回岡山東商業高校・倉敷商業高校定期戦」の視察・研究に行ってきました。参加した学生さんは、教職課程コースの講義科目「特別活動及び総合的な学習の時間の指導法」や「商業科教育法」を履修している3年生・4年生12名です。卒業後高校の教壇に立つことをイメージしたとき、様々な特別活動(中でも学校行事)を指導するようになることを頭に置き視察を行いました。

応援合戦の様子

閉会式の様子

学生の感想を紹介します。

(経営学科経営学科4年 原田)
 開会式にて選手入場の行進は吹奏楽の音楽に合わせて全員の足がそろっており、練習も心を一つにしてしっかりされていると感じました。また、選手宣誓や両校交歓をしているとき、両方のスタンドから高校生のものすごい熱気を感じました。定期戦の開会式を見ただけでも、両校の定期戦にかける思いの強さを感じることができました。始めてみた定期戦ですが私も教員として参加してみたいと思いました。

倉敷商業高校応援合戦の様子

岡山東商業高校応援合戦の様子

(経営学部商学科4年 佐藤凜佳)
 この定期戦は両校の部活動が対決し、その勝敗の数で勝ちを決めるという東商・倉商特有の行事です。私は大学の講義の関係で、開会式しか見ることができていませんが東商生時代と変わらない感動をもらうことができました。開会式では選手宣誓から両校マーチング、全校生徒で応援合戦をしあいます。東商卒業生ということもあり自然と母校を応援しながら見てしまいましたが、やっぱり伝統ってすごいなと思わされました。全校生徒が一丸となって大声で歌う、踊るこんな経験ができた東商を卒業したこと、とても誇りに思います。部活動に所属している生徒はもちろん、そうでない生徒も巻き込んで各部活動を応援し勝ちを狙う、この行事一つだけでどれだけの人間力が身につくか図り知れません。両校のチーム力、生徒の輝きなど卒業後高校教師になる私たちにとって得られるものが沢山ありました。

(教職課程担当者:経営学部商学科教授 吉田信)