台湾・中央警察大学の国際シンポジウムで報告しました

Spread the love

 去る10月5日(月)に中央警察大学(台湾)の創立90周年記念シンポジウム「2026年科技偵查暨資訊安全國際研討會(2026年科学捜査と情報セキュリティに関する国際シンポジウム)」が挙行されました。中央警察大学は、1936年に「中央警官学校」という名称で南京に設立されて以来、中華民国における警察幹部の養成機関として重要な役割を果たしているところです(国共内戦の影響を受けて台湾省桃園市に移設され、現在に至る)[日本語版の紹介ビデオはこちら]。

 今回のシンポジウムでは、法学科の白井諭教授が「日本檢察官的角色與偵査權限――兼論日本檢警關係――(日本における検察官の役割と捜査権限:検察と警察の関係を含む)」をテーマに報告しました(なお、スケジュールの都合により、オンラインで報告することになりました。会場とプログラムの画像は、林裕順教授(中央警察大学)よりご提供いただきました)。

 報告では、わが国における検察官の役割について、歴史的な変遷にも触れながら、その現状と課題を取り上げました。伝統的に、わが国の検察官は「公益の代表者」として「罪ある者を逃さず、無実の者を苦しめない」ように配慮する義務を負うことを期待されていますが、こうした役割を果たすためにも、検察官が自ら捜査に乗り出す必要であると認識されてきたことから、わが国の検察官は現在に至るまで、捜査段階でも強い権限を掌握してきました。このような現状に対して、報告では、①公訴の提起・追行を職責とする「公訴官」の地位に照らして検察官が警察の捜査を監視・抑制する役割を果たす可能性を持つ一方で、検察と警察の関係について適切な独立性を確保していくこと、②社会秩序を維持する使命の下で「有罪判決の獲得」に固執する風潮が検察組織に見受けられる現状の下で、検察組織の外部から検察の活動を監視・検証するシステムを構築することを課題として指摘しました。

 報告に対しては、林裕順教授から、台湾でも、無辜の犠牲者を出さないことと適正手続を遵守することを共通の目標として、検察と警察の関係を構築する必要があるという旨のコメントがありました。

 当日は、教職員や学部生・大学院生を中心に、多くの聴講者が集まりました。また、会場では、韓国における近時の司法制度改革についての報告(国立韓国警察大学犯罪捜査研究院・李東熹院長)やシンガポールの現状についての報告(シンガポール社会科学大学・Lee Rong Cheng講師)もありました。台湾の刑事司法のみならず、わが国の刑事司法の在り方を考えるうえでも、有益な示唆に富んだシンポジウムとなりました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です