法学部・オンライン授業の風景

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 5月下旬の「刑事政策」(担当:白井)では、自由刑の在り方について検討しました。緊急事態宣言が発令されていたため、当日はオンラインで(zoomを使って)開講しました。

 伝統的に、犯罪者の自由を拘束することを刑罰の内容とする「自由刑」では、受刑者を刑事施設へ収容することとともに、彼/彼女らに労働を課すことが重要視されてきました。現代のわが国でも、懲役刑では「所定の作業」が刑罰の内容に含まれており、禁錮刑でも受刑者の殆どが「請願作業」などという形で刑務作業に就いているといわれています。

 当日の講義では、まず、刑務作業の意義について受講者全員で検討しました。受講者には、刑務作業の意義について各自が思うところを事前に挙げてもらっていましたので、担当者がGoogle Jamboardを使って整理しました(googleのアカウントがあれば無料で利用できます。講義のなかで作成したものより若干清書しています)。受講者からは、「社会復帰を円滑にする」「受刑者の心身の健康を保つ」「規則正しい生活を身につける」「共同生活における自己の役割や責任を自覚させる」「自分がしたことを見つめなおす」などといった回答のほか、「犯罪者であってもある程度社会に貢献できる」とか「税金で、ご飯を貰っているのだから働くのは当然である」といった指摘もありました。

 また、当日の講義では、刑務作業の対価として受刑者に賃金(報酬)を支払うことの是非も検討しました。賃金労働制については、「犯罪をして刑務所に入っているのに給料をもらうのはけしからん」という考えが根強い一方で、本人の社会復帰や被害者への賠償に資することを主な論拠として導入が提唱されています。その他、受講者のなかには「刑務作業へのモチベーション」という観点から賃金労働制に賛成する意見もありました。

 法やそれに基づく制度を運用する際には、さまざまな観点から検討を加えることが必要となります。例えば、刑務作業については、施設の運営(心身の健康・施設内の秩序の維持)、国家の財政(コストの削減)、受刑者の矯正教育(改善更生・社会復帰、勤労意欲、罪への意識)という3つの視点に立ってあり方を検討していく必要があります。これからも、学生が幅広い視点に立って物事を考える能力を身につけられるよう、試行錯誤を重ねてまいりたいと思います。

 

(法学部・白井 諭)

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