金融機関および関係会社でリサーチ業務を中心に42年間勤務したのち、大学教員となりましたが、これからの未来を背負う若い方々にお伝えしたいことは沢山あります。 しかし、昭和の時代に社会人生活を始めた者としては、年齢差の大きい皆さんに何をどの様にお伝えするのが一番良いのか、より効果的なものを目指して、日々研鑽を重ねて行く必要があります。
とりわけ成績評価については、学生諸氏にとって極めて重要な問題であり、一教員として真摯に取組んでおりますが、悩みは尽きません。 ちなみに、私が担当している科目では、各講義の理解度を確認する毎回の小テストや、期末試験の点数を用いて成績評価を行っていますが、期末試験の採点を行う度に、色々と考えさせられるところがあります。
今や生成AIが高度に発達していますので、記憶力を試すことにはあまり力点をおかない様にしています。 正直なところ、小生も、記憶はそれほど得意ではなかった様に思います。 それよりも、物事に対して真摯に取組む姿勢、そして以前は理解できなかったことが理解できる様になった喜び、さらに各学生の好奇心が如何に発揚されたか、を重視できれば理想的です。
しかしながら、現実には普段教室の前の方で熱心に授業に参加している学生の得点が意外と伸び悩んだり、そうでもない学生が高得点を挙げたり、採点の結果は私にとっても悲喜こもごもです。 熱心と思われる学生の得点が低い場合は、私の教え方が拙かったのではないか、教室であまり見かけない学生の得点が高いということは、私の講義の価値が低いのではないかと。
懸命に努力を続けている学生と、要領だけが良い学生の比較は、正解のない問題なのかも知れません。 実際、逞しく生きていく上では、要領も不可欠な要素だと思われます。 私も、長年の海外勤務の際に、異文化で育った同僚と手を携えて業務に取り組む経験を積ませていただきましたが、やはり努力だけではなく、要領も必要だったというのが実感です。
私の講義には、海外からの留学生も沢山参加してくれています。 彼等にとっては、「日本語」という壁が大きく立ちはだかっていると思いますので、基本用語の読み方を含め、誤解を招かない簡明な解説が求められます。 かといって、複雑な事象を余りにも初歩的な説明で済ませてしまうと、今度は日本人の熱心な学生の学習意欲を削いでしまうことになりかねません。
このような背景から、私が使用する教材では複雑な事象を丁寧に説明することを心掛けており、そのためかかなり分厚いものとなっています。 そして、「記憶力よりは思考力」という観点から、期末試験の際に教材の持込みを認めている科目もあります。 すると、「努力よりも要領」と思われる学生が高得点を上げかねないので、今後とも試験問題に工夫を凝らさなければなりません。
という次第で、期末試験は学生の皆さんにとっても、そして教員である私にとっても、大きなチャレンジです。 学生の皆さんには、最大限の応援を送りたいと思います。 「みんな、頑張れ!」


(経済学部 森川公隆)