今回は経済学部教員で演劇部顧問の宮島先生にご寄稿いただきました。
先日、愛知県にある安城学園高等学校の顧問からメールが来て、「汽笛」を上演したいと書かれていました。この作品は私が津山東高校で演劇部の指導をしていた時に書き下ろした脚本です。生徒と試行錯誤しながら書き上げたことが懐かしく思い出されます。
「汽笛」はいじめにあい、親友とも連絡がとれなくなった、女子高校生が無人駅に置かれていた、「だめの子日記」という本を読み、その言葉の力に生きる勇気をもらうお話です。
「だめの子日記」は県立津山高校1年生の女子生徒が交通事故で亡くなった後、ご両親が彼女の部屋にあった日記を一冊の本にまとめられたものです。その一節を紹介しましょう。
「七月十九日。アンネの生涯についての本を読む。苦しく辛い生活に生き抜くアンネ。そうよね。幸せに暮らしていたアンネが、隠れ家に身を潜めながら、恋もするの。ピーターだっけ。日記には将来の夢も書いてたな。人を助ける仕事をしたいと。すごい。すごすぎる。私もそんな日記を書きたいな。私の夢は大自然のオーストラリアに住むことかな」
(だめの子日記p72 小学館)
だめの子日記を読んだ女子高校生が、幽霊としてあらわれた智加枝さんに勇気をもらい、辛いことがあったら、無人駅で汽笛の音を聞いて自分が一人ではないことを思いだしてと言い残し消えて行きます。その言葉に彼女は強く生きる決意をします。後に信じていた友達は田舎のおばあちゃんが倒れて、携帯を忘れて病院に向かったことがわかり、友達を信じていなかったことを謝ります。いじめを乗り越える勇気をもらった彼女はこれから強く生きられることを予感します。

だめの子日記は中学校の教科書にも掲載されるほどで、その言葉の美しさに魅了されます。今は絶版になっていますが、智加枝さんの弟さんと交流をしていて、今はその再版をしようと計画しています。安城学園高校演劇部さんの上演が成功することを祈るばかりです。きっと智加枝さんが見守ってくれていると思います。
(経済学部 宮島宏幸)