今回は佐藤先生にご執筆いただきました。
「岡山商科大学・経済学部生の皆さん」および「大学の経済学部へ進学しようと考えている高校生のみなさん」にお聞きします・・・皆さんは、『経済学部は文系学部だから、大学へ入学したら、もう二度と自然科学関係の勉強をしなくて良くなるから・・ホッとする』・・・と考えていないでしょうか?
★このような考え方は、「正しい発想」でしょうか?
★解答は・・・本文の最後に記載
★解答の理由
皆さんは「オランダ」と言えば、どの様な風景が頭に浮かぶでしょうか?
オランダ旅行のパンフレットを想像された方は、パンフレット表紙に掲載されている『風車や花咲く風景』を想像されたのではないでしょうか?
ところで・・・「あの風車」・・・何をするために存在しているのでしょう?
かつての日本では、水車の回転する力を利用して穀物を製粉していました。当然、オランダの風車も、風の力による風車の回転力を利用して、製粉にも利用されていました。しかし、かつては、オランダにおける【風車利用の重要目的】は、地下水を海へ放出することだったのです(現在は、電動モーター利用)。
「オランダでは、国土の約25%は海面より低い位置にある」・・・ということは、中学や高校の社会科の授業で勉強されたものと思います。つまり、オランダでは、何もしないままでいると、海水が地上へ湧き出てきて、現在は陸地となっている地域の25%は、海面下に沈んでしまう・・・ということです。
そこで、かつては、海面より海抜の低い地域では、風車を利用して地下水を海へ排水することにより陸地を確保していたのです(現在は、電動モーターにより排水)。
さらに、国土の25%は、かつて海底に存在していたため、海藻類が堆積した【ピート土壌】と言われる「軟弱地盤」によって形成されています。この軟弱地盤、普通の建築方法で「家や工場」等を建設すると、数年で、建物が地中へ埋没してしまいます。その様な事態の発生を防ぐには、シートパネルといわれる建築材料を、地下の固い地層にまで到達させ、その上に建物を建設するのです。つまり、日本で生活している我々が、通常に建設しているよりも遙かに高額な費用を支出しなければ、工場や家の建設は出来ないのです。 もっとシビアーな言い方をすれば、同じ工場を日本で建設する場合とオランダで建設する場合とでは、工場の建設費用が格段に違うわけです。日本と同じ製品を生産するのであれば、オランダで生産する場合には、日本で生産するより相当割高な生産コスト負担を覚悟しなければならず、オランダの企業は、その条件を前提として、日本の企業と競争しなければならないわけです。
企業間競争においては、単に、工場内での生産コスト競争だけでなく、企業が立地している自然条件(土壌条件や気象条件:物流コストにも影響します)等も考慮して、企業戦略を立案する必要があります。
つまり、経済学を勉強するためには、ある程度の自然科学に関する知見や知識・発想法などを身につけておくことが大切です。
経済学部に入学された皆さん(および、高校生の皆さん)・・・自然科学に関係する一般的・基本的な知識や情報に関しては、常に関心を持ち、勉強し、これらを活用しながら、経済問題を考える習慣を身につけてください。将来、必ず役立つと思います。
★なので・・・冒頭の質問の答えは・・・私の考えでは・・・「正しくない」・・となります。
★オランダの風車の風景については、下記アドレスを参照
(経済学部・佐藤豊信)