〈経済学部通信〉旅に出よう

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今回は今年度より着任された吉井昌彦先生にご寄稿いただきました。
吉井先生はロシア・東ヨーロッパ経済を専門とし,本学では「ヨーロッパ経済論」などの講義を担当されています。


新型コロナも一段落し、外国人観光客が戻ってきました。渋谷スクランブル交差点を渡る人波も戻り、この人波を写真やビデオに収めようとカメラやスマホを構える外国人観光客も戻ってきました。歩行者用信号が青に変わると一斉に人々が動き出し、ぶつかることもなく人々が交差していく、日本人には何ということもない風景をどうして外国人観光客はビデオや写真に収めようとするのでしょう?

渋谷スクランブル交差点

 

1回の信号で3,000人とも言われる人々が、誰に頼るでもなく、ぶつからず、交差点を渡り歩くことができる、日本人ならではの「譲り合いの精神」に基づく「高等テクニック」を見たいそうです[1]。「私は、私は」で回りを見ずに歩けば、ぶつかってしまう。日本人は周りを見ながら歩くので、スクランブル交差点内を右(左)側通行にするなどという規則を作らなくても人々はスクランブル交差点を渡れるというわけ(最近は譲ることを知らず、直進してくる人も増えてきたけれど)。

日本は、周りの人々にあわせる(出る杭は打たれる?)、細部にこだわる完璧主義などを武器に高度経済成長を成し遂げ、世界有数の経済大国となりました。しかし、今や日本はフロントランナーとなり、新たな発想や技術で新しい社会を作り出し、「失われた30年」を乗り越えていかなければいけません。岡山商科大学で学ぶ皆さんが新たな発想を身につけ、新しい社会に伍して生きていくためには、これまでとは異なる考え方、生き方を身につける必要があります。自分たちとは異なる考え方や生き方を知る、身につける簡単な方法の一つは、異なる地域や国へ出かけることです。

短期間の観光旅行で構いません。それこそ、渋谷スクランブル交差点に行き、どうして外国観光客は写真を撮っているのだろうと考えることから始めるのも一つです。グループ旅行に参加し、自由時間に街を一人で街を歩くだけでも構いません。例えば、日本では切符を買う時に先に自動券売機にお金を入れて、行先(金額)ボタンを押しますが、欧米では行先ボタンを押してからお金を入れます。そもそもヨーロッパの多くの市内公共交通機関では改札などありません(車内検札で無賃乗車が見つかると高額の罰金を支払わなくてはいけないので、切符はちゃんと買いましょう)。こんな違いがなぜ起きるのか、考えてみましょう。

もちろん留学をし、半年、一年あるいはそれ以上暮らすことができれば言うことはありません。言葉を学ぶだけでなく、現地の学生や人々がどのように考えているかを知り、自分を変えていく良い動機付けになることでしょう。残念ながら、内閣府の調査(令和元年度)では、留学をしたいという日本の若者(32.3%)は韓国や米国(約65%)の半分です。このまま日本に住み続けたいと考える若者の比率も高く(42.7%)、日本の若者の安定・内向き志向が表れています[2]。岡山商科大学には、学生交流協定をもっている海外大学があります。語学研修も行われています。ぜひ活用しましょう。

私も、大学2年生の夏休みにシベリア鉄道に乗りにロシア(当時はソ連)を旅行しました。モスクワやサンクトペテルブルク(当時はレニングラード)の重厚な建物に圧倒される一方で、暮らしの貧しさも感じました。一緒にシベリア鉄道に乗っていたある大学生は、駅の陸橋から写真を撮り、フィルムを抜かれました。レニングラードの夜の街を一人で歩いていると、おじさんがどう見てもロシア人に見えない私に道を尋ねてきました(「ロシア語は話せません」とロシア語で答えたので、きょとんとされたのはご愛嬌)。などなど貴重な体験満載の3週間で、これが私のロシア(ソ連)経済研究のきっかけとなりました。

さあ皆さん、旅に出ましょう。

シベリア鉄道

 

[1] https://dot.asahi.com/tenkijp/suppl/2019060200005.html

[2] https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/r01honpen/s0_1.html

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