岡山商大の九鬼一人です。以下の通り科研費シンポジウム(コロナのためzoom)が開催されますので、ご案内させていただきます。
参加希望の方は、下記参加申し込みフォームから事前登録をお願い致します。

「20世紀初頭価値論が残したもの・その歴史的な限界と射程」
本シンポジウムは、JSPS科研費20K00119「20世紀初頭価値哲学の反自然主義—現代価値論の再考のために」(科研代表者・九鬼一人)の助成を受けたものである。
日時:2022年4月10日(日)
時間:13:00-17:00
開催方法:Zoomによるオンライン開催(zoomは記録のために録画)
協賛:瀬戸内哲学研究会、「近代日本における新カント派受容の歴史と意義」研究会(科研代表者・伊藤貴雄先生)
参加申込みフォーム(事前登録された方に、Zoomのミーティングルームの情報をお送りいたします。)
プログラム・司会 近堂秀(法政大学)
主旨説明(13:00-13:10)
植村玄輝(岡山大学) フッサールの価値論(13:10-13:50)
上島洋一郎(関西大学) ディルタイの価値論(13:50-14:30)
九鬼一人(岡山商科大学)リッカートの価値論(14:30-15:10)
休憩(10分)
特定質問と提題者のリプライ(15:20-15:50)
特定質問者 高木駿(北九州市立大学)
全体討論(15:50-17:00)
シンポ要旨
20世紀初頭価値論の諸論客について言うと、以下のようになります。
フッサールのアプリオニズムで言うなら、当然、ディルタイの客観的精神やリッカートの開いた価値体系との関係が問題になるでしょう。植村先生は現象学におけるアプリオニズムを論じられると思いますが、その最善世界を、どのような存在論で説かれるのか、興味あるところです。
ディルタイの解釈学関連で言うなら、上島先生は人格の価値ということに興味をおもちのようです。ディルタイの「他」を特異なものとして認め、社会的な交わりを中心に置く考えと、フッサールの他我論やリッカートの意識一般が、どう交わってゆくのかはスリリングな問題でありましょう。
九鬼の発表では、価値判断の主観準拠、客観準拠を複合するかたちでの、リッカートの二重作用説を発表します。その文脈でカント主義一般の限界に言及します。或る意味、意識一般を独我論的に抽出しているリッカートに対する批判に、十分こたえられているか心もとないところです。両先生からのご批判、ご教示を賜り、議論を深めて行ければと思っています。
シンポではご自由に発表していただき、できうれば三者三様の限界と射程に、話を絞って行けたらと存じます。研究代表者としての希望を言えば、主催者の予想を裏切る展開が議論を生産的にしてゆくことです。とくに1900〜10年代の彼らの対話がどうした擦れ違いを起こしているか、相関や志向性に関連して確認し、とくに価値論の存在論的前提はいかなるものであるべきかに話をもって行けたら、と念じます。
問い合わせ先
九鬼一人
kazuto☆po.osu.ac.jp(☆を@に)