新型コロナ感染症蔓延に伴い、公開を延期いたしておりましたため、
今回は秋ごろにご執筆いただきました内容を載せております。
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秋も深まり,次第に寒さが身に沁みる頃となって参りました。
今月から,経済学部では教員が持ち回りで教育や研究などの現場を紹介する運びとなりました。第一回を担当することになります,池田昌弘と申します。
今回,私の方からは新入生の学習の現場を紹介しようと思います。
1年次必修科目である『教養演習』では,スタディスキルの育成と向上を目的として実践型の授業が実施されています。私の講義では「読み・書き・発表」の能力を高めるべく,学生が毎回様々な課題に取り組んでいます。
コロナウィルス感染症の影響もあり,今年度は授業開始が1か月程度遅れ,しばらくはオンラインでの講義が続きました。そのような影響もあり前期は「読み,書き」に重点を置いたクラス運営となっていました。
対面授業が本格的にスタートした後期は,人前で自分の意見を話す「発表」を軸に演習が進んでいます。
その一環として,11月17日に開催されるディベート大会(國光ゼミとの合同演習)に向けて,本日は「高齢者の免許,自主返納について」という課題に対して,A.自主判断に委ねるべき(肯定側),B.75歳以上は強制的に免許停止にすべき(否定側)の双方の意見を吟味してもらいました。

高齢者問題の1つとして昨今話題になっているトピックではありますが,18~19歳の皆さんにとっては,なかなか身近に感じることが難しいようでした。ただ,実際に運転している学生,祖父母が運転をしている学生の話を聞くと,「対向車線に高齢運転者がいると怖い」であったり,「祖父の運転は安全で信頼できる」と何かしら個人的な見解を持っていることが分かりました。
課題がどのようなものであれ,私個人の思いとしては,現代社会の抱える諸問題を「自身の身近な経験」と紐づけて,自分の意見を形成していってほしいと思います。というのも,様々な問題や課題を身近なものと捉えることで,より当事者意識が芽生えて課題解決に向けた考えを導き出すことができますし,主体的に学び考える習慣がつくことで,答えの見えない将来的な課題にも少しずつ直面することができるようになるからです。
最初はどこか他人事のように捉えられていた本日の課題ですが,時間が過ぎるごとに身近な問題として直視しようとする姿勢が学生からみられたことは,私にとっても大きな収穫となりました。
そして,感染症対策を遵守し,寒いなか課題に取り組んでくれた学生の忍耐力には頭が下がります。
願わくば,その前向きの姿勢がディベート大会本番に活かされんことを(?)。
(経済学部:池田)