秋に染まっていく中庭

〈経済学部通信〉歩歩是道場

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今回は韓先生にご寄稿いただきました.


 気づいたら、キャンパスの中庭を囲んでいる桜の葉が、すでに色づき始め、そして爽やかな風が吹いたら、ひらひらと舞い落ちてくる。もうこんな時節なのかと心にしみながら、海の彼方の母のこと、友のこと、そしてこの「わたし」のことをふと想う。

 ここは病院の待合室。ずっと避けてきたところだったが、やはり引っかかってしまった。来るべきは来るということか。ここまで来たら逆に安堵した気持もなくはない。
ここもやはり静かだなあと、周りを見て感じた。実家だったら、病院でもいつも人があふれており、付き添いは必ず誰か、しかも何人かいるのが普通なのだ。けれど、ここでは老若を問わず誰もがおひとり、そして、この「わたし」も。
 「おひとり様は、何よりもまずは健康第一!」と
先ほどからずっと脳裏をこだまして消えない。
……
しかし、どうだろう。家族がいるにしろ、この体と心を持っているのは間違いなくこの「わたし」なのだ。ある意味では究極の「自己責任」とも言えよう。診察の結果も気がかりだが、これを機にこの「わたし」にもう少し丁寧に寄り添っていこうと意を決した。ここを出たら焼肉に行こう、と思ったら、

「カンさん、カンウントウさんー」
おっ、来たっ!
あれっ、「サマ」じゃないんだぁと内心思いながら、
では、秋が深まりつつある中、皆様にもご自愛のほど。

秋に染まっていく中庭

秋に染まっていく中庭

 

(経済学部 韓)

 

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