ルーアン

〈経済学部通信〉岡山市道伊島町二丁目吉宗線沿線の風景~「ルーアン」から「レッキー」まで~

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今回は有利先生にご寄稿頂きました。


 商大の正門から取付道路を北へ約100メートル行ったところに「商大前」という三叉路の交差点がある。それを渡ったところに洋食のレストラン「ルーアン」がある。土日には、店の外に行列ができるほどの人気店で「海老カツレツ」がおすすめ。大学の同僚と一緒の時や栄養補給が必要な時には利用させてもらった。今でもそうである。いろんな点で商大とつながりの深い、有名店である。なお、私が商大に着任した頃は300メートルくらい東側にあった。来年は開店30周年らしい。

2000年から約15年余り、商大近くに住んだ。商大の正門を出て右折したところに「ジャクソン」という喫茶店があり、Ⅰ限目の授業が無い日は、そこで420円の「モーニング」を食べるのが一日の始まりだった。ジャクソンは廃業され、併設の学生アパート(その後建て直し)とともに商大の施設になっている。私の昼食は、学生食堂が多かったように思う。

ルーアン

 「商大前」交差点を通る片側2車線の道路は旧国道53号線、新しいバイパスが国道になっているので正式名称は「岡山市道伊島町二丁目吉宗線」、つまり伊島町二丁目から吉宗までの市道である。この道自体が、北の烏山の根際(ねき)を通る道の新道であったのだろう。道を作ったときに、もともと東西南北に区切られていた田畑を斜めに北西から南東へと乱暴に一直線に分断したとみられる。沿道の各店舗は土地区画に従って建てられているので、道に対し正対していない。そのため、車線からでは、上りにせよ下りにせよ、店を斜め左後ろから見ることになり、店の状況が分かりにくい。

 めん類を食べたい時はルーアンの東側の「ラーメンさくら」に入る。私は、夏は「つけ麺」、冬は「坦々麺」を頼む。2000年頃は、そこに「養老の滝」があり、たまに飲みに行った。道に沿って東南に進むと、道と区画の関係で奥行きのない三角形の建物がある。そこに「レッツ悟飯」という小規模な食堂がある。以前は「アルペジオ」と言い、急な階段を登った2階で商大生が大学祭の打ち合わせをしていた。さらに、美容店(一時洋服屋だった?)の前をすぎると、喫茶店「ユートピア」や小さな和食店、さらにカレー専門店「サフラン」/「ガラムマサラ」があったがいずれも無くなり、惣菜屋が新たに開店した。宅急便の発送でお世話になったセブンイレブンを過ぎると、2000年以前から続いている「かつ亭」がある。その先、歩行者用の陸橋の手前に、私が苦手としていた喫茶店「楽庵」があったが廃業し、最近「ホトトギスファームカフェ」が開店した。なかなか洒落た店で、所有している農場で栽培した野菜や畜産物で料理を出してくれる。クッキー類もおいしいお薦めの店である。

ホトトギスファームカフェ

 その先に、パチンコ店があり商大生の出入りを心配していたが、今は大きなアパートに変わっている。東横の食堂「松屋」と模型販売店「模型工場」をすぎると、スパゲッチの「ジョリーパスタ」がある。さらに2軒過ぎ、小道を渡ったところに食堂「レッキー」がある。用水と市道に挟まれた、斧の頭を立てたような尖った打ち抜きの3階建ての建物である。高齢?の御夫婦に安くてボリュームのある定食を作っていただける。ネットでみても評判が良い。人恋しくなると雑談にお伺いした。柔道部の現役、OBも世話になっていたらしい。いつまでも、お元気に!と思わずにはおられない。

レッキー

 * * * * * * *

 ここまでが大体500メートル。反対側にわたって道を戻ると、医院、自動車関係、ローソン、中国労金、美容、理容、不動産、技術コンサルタント会社などが並んでいる。もちろん、飲食店もあるが、道の北側と産業分野が違う。その中で忘れられないのは、やや高齢のお母さんがやっていた「食べ吾呂」という和食屋である。学生に和食を安く提供したい(確か定食が学生500円、一般は600円)ということで、始められた。親元を離れあるいは留学して来ている商大生の人生相談にも乗っていただいていたらしい。学生の親がお礼に来られたり、定食内容をみて安心して帰られたりしたという話も聞いた。ただ、残念なことに、ある時、癌で急に亡くなられた。建具師をしておられたご主人はどうしておられるだろうか。

 商大前交差点に戻る直前の場所に、2000年当時は「つる幸」という日本酒が飲める料理屋があった。当時、遠隔から来て泊まっていた先生方の歓談の場だった。その後、惣菜屋や飲み屋に変わったが、今は商売はされていない。その横に、一時期、野球部の食堂になっていた「きさらぎ」がある。散策路の終点は、コンビニ「ら・む~マート」である。

 では、産業構造はどうなっているか。ゼンリンの住宅地図をもとに分類してみると、別表のようになる。

産業別事業所数
資料出所)各年のゼンリン住宅地図を基に有利作成
注)ビル内の店舗、事務所については、完全には把握できていない。また、産業分類も厳密ではない。
  合計 金融・不動産 卸売小売 飲食店等 自動車関連 理美容 医院 教育学習支援 専門技術サービス
コンビニ 食堂 飲み屋 喫茶店 持ち帰り・配達
2000  35 4 4 1 14 9 2 2 1 5 4 2 1 1
2010  36  4  5  2  14  10  1  1  2  4 3  3  2  1
2021  34  3  6  3  12  8  0  1  3  2  3  2  2

道に面している建物にある店舗だけに限定したが、ビルの1階に入居している店は完全には把握しきれていない。たとえば、昔、サンライト津島の1階にパソコン工房、その奥に棒球場があったが、抜けている。道向かいにもう一軒飲み屋があったかもしれない。そういう前提で見ていただきたい。店舗総数(事業所数)は、この20年間、35程度と殆ど変わっていない。構成としては、全てが広い意味でのサービス業で、中でも飲食店等が4割と多い。しかし、店でも食事よりも、コンビニも含め持ち帰りや配達が増加する変化が見受けられる。意外なのは、美容室は多いが、衣料店がないことである。品揃えが必要であるから、小規模店舗しか立地できない地域では無理なのかもしれない。

 いずれの店でも、商大生、商大関係者を大切に家族のように扱ってくれる。大変ありがたい。このストリートが、もう少し活気を帯びたものとなるよう願っている。

(経済学部 有利)

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